マーケットインか、プロダクトアウトか
ものづくりをされている二者は、プロダクトアウトでした。中川政七商店の中川さんは、次のように述べられていました。
「お客さまを見て合わせるのではなく、自分たちで考えてつくる。お客さまの言っていることをそのまま理解しても仕方ないけど、店頭でのお客さまの一挙手一投足を見て、感じとろうとはする。そして、ある一定数の共感を得ることが出来れば、事業規模が小さければそれで勝てる。自分たちがいける!と考える商品をつくっていれば、あとはそれをどう伝えるか。情報の差し出し方が大事」
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さらに剣菱酒造の白樫さんは、次のように語ります。
「お酒の味は変えない、いつか必ずお客さまの嗜好は戻ってくる。変えるべきなのは伝え方。試飲会などのイベントに出るのは、媒体を通してではなく、直接お客さまに、なぜこういう味なのか、企業理念を伝えてより深く剣菱を理解してもらうため。お金は宣伝にかけるのではなく、商品にかけてお客さまのために使いたい」
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プロダクトを提供する人がきちんと生活できて、顧客にとっても納得のいく価格。売れる価格ではなく、売る価格が大事だということでしょう。
そして、お二人の話を聞いて思い出したのは、米国の人気ハンバーガーショップ「In-N-Out(インアンドアウト)」です。ハンバーガーとポテトフライ、シェイクしかなく、健康志向の潮流に全く迎合することなく、同じメニューをひたすら提供し続けています。その理由は、健康食など意に介さない顧客が商売に値するだけの一定数いると想定しているからです。
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みなさん「伝え方」や「顧客の声」など、コミュニケーションを大事にされています。近大でも最近ではコミュニケーション戦略に力を注いで、志願者数を伸ばしていることが知られています。