プロ人材の中途採用=ノウハウ・人材不足の解決ではない


 では、専任担当者を置くために企業は何をすべきなのでしょうか。多くの人が考えるのが、中途採用による人材の補充だと思います。しかし、安易に外部から人材を招いたとしても、期待通りの成果に結びつかない可能性があります。今回の調査で、社内の他部署から人材を異動させ育成しても、社外から中途採用をしても、スキルやノウハウの水準には大きな差がないことがわかってきたからです。

 下のグラフは、各領域の担当者に対するスキルレベルの評価と、担当者のバックボーンの関係を示したものです。社外からの中途採用のほうが、「高いレベルのスキル・ノウハウを持っている」わけではないことがわかります。

 「 CRO」「SEO&コンテンツマーケ」においては、「社内で他組織から異動」した人材に対してのほうが、「高いレベルのスキル・ノウハウを持っている」という回答の比率が大きくなりました。



 代理店文化が根付いている広告領域と異なり、CROの領域では代理店や運用支援事業者自体が少ないため、中途採用の供給源となる支援企業側のプロ人材自体が市場的にも少ない状況です。ノウハウも経験も豊富で自社のビジネスにフィットする、そんな理想的な人材を中途採用すること自体が、そもそも困難なのかもしれません。
 

マーケティングツールの導入だけでは成果は創出できない


 デジタルマーケティングのノウハウ・人材不足を埋める手立てとして、もうひとつ多くの方が思いつくのが、「マーケティングツールの導入」ではないでしょうか。弊社をはじめ、様々な企業が開発・提供しており、有用なものが世の中にはたくさんあります。「ツールを導入すれば誰でも効果的なデジタルマーケティングを実施できるようになる」と考えるのは自然なことです。

 しかし、ここであえて明言しましょう。ツールを導入しただけでは成果は出ません。これは僕の経験からも、今回の調査データからもはっきりしています。グラフに現れているとおり、デジタルマーケティングツールの導入効果に対して、「期待通りの成果を得られている」「期待を上回る成果を得られている」のは50%に満たないのです。

 もちろんツール自体が悪いものではありません。施策の実行環境として、PDCAサイクルを回す手段として、今や必要不可欠なものといえるでしょう。成果が出ていない企業には何かが欠けていたのです。



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