2019年以来、3年ぶりの現地開催となったのが、昨年(2022年)のカンヌライオンズでした。アジェンダノートに速報記事を書いて、「リアルに集うこと」を重要視するクリエイティブ業界の人々の様子をレポートしました。
さて、70周年を迎えた今年(2023年)のカンヌ・ライオンズは、どうだったでしょうか? 現地から速報レポートをお届けします。
さて、70周年を迎えた今年(2023年)のカンヌ・ライオンズは、どうだったでしょうか? 現地から速報レポートをお届けします。
70周年を迎えたカンヌライオンズ
こんにちは! 多摩美術大学で広告論/マーケティング論/メディア論を教えている、佐藤達郎と言います。アジェンダノートでは2018年以来、カンヌライオンズを紹介しています。ADKと博報堂DYメディアパートナーズで長年働いて、2011年から現職となりました。カンヌライオンズには2002年に初めて参加し、2004年には審査員も経験しました。その後も取材・研究・紹介を続け、今年で18回目の現地参加となります。
カンヌライオンズ(正式名称はカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル)は今年が70周年となる、世界で最も影響力を持つ広告・マーケティングの祭典です。30の応募部門(ライオンと呼ばれます)を持ち、200近いセミナーを開催。1954年以来70年の長きに渡って、世界の広告ビジネスとマーケティング・コミュニケーションをリードする存在となっています。
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メイン会場に入ると参加者はまず地下へ。ショートリスト以上の応募作が見られます。
さて今年、私がいちばん気になったのは、日本からの参加者の中に、初めての参加者の方、それもその会社から初めて送られて来た方にたくさんお会いしたことです。
空間デザイン会社や総合商社に加えて、今までは社員を派遣したことがなかった中堅の広告会社。従来、目立った参加者と言えば、現地でセミナーも開催する国内トップ2社と、トップ10までの広告会社、さらにCM制作会社でした。もちろん今年もそれらの会社からもたくさん参加されていますが、それでも「今年は、参加者の幅が広がった」と実感しています。クリエイティビティを求める業種の“広範化”と言えそうです。
実は、この傾向は数年前から感じていたのですが、今年は特に顕著だと思います。このカンヌライオンズで、まさか総合商社の方に遭遇するとは!
「動画をつくる」や「ポスターをつくる」、「Webサイトをつくる」など、従来からクリエイティブ業務と考えられてきたことに直接は関係ないビジネスパーソンが、自身の業務でのクリエイティビティ上のヒントを求めて、会社に申請して派遣されてカンヌライオンズに参加しているわけです。
「素晴らしいことだ」と思うと同時に、世の中がそういう方向に変化しているのだろうと如実に感じました。どの業界だって「従来通り」では、やっていけないのでしょう。そして従来通りを覆すものこそが、カンヌライオンズが掲げる「クリエイティビティ」というわけです。
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さて、この速報レポートは、フェスティバル2日目に入る6月20日の朝6時から書いています。現時点で、すでに幾つか感じたことがあるので、ランダムな形でいくつか記してみます。