“人生後半戦”の「夢中のあり方」を調査
博報堂は8月28日、WOWOWと共同で、自分自身が「夢中」になれることを持つ50歳以上の男女1500人に対して「夢中のあり方」について聞いた「夢中のチカラ調査」の結果を公表した。
それによると、他人に左右されない「自分軸の夢中」を持っている50~74歳の「夢中のあり方」には、以下の3つの特徴があることがわかった。
①「夢中」と出会うきっかけの多くは外的要因(マスメディアや人の勧め)
②「夢中のあり方」は、「ささやかな幸せモード」など6つのモードに大別され、それぞれに年齢や性別的傾向、ジャンル、ハマり方などの違いがある
③「夢中」を一人で楽しむ人が多い反面、「夢中」を通した人間関係の広がりもある
本調査は、企業の「生活者発想」を推進・研究することを目的とした博報堂の「生活者発想技術研究所」と、WOWOWの「WOWOW 夢中のトビラボ」による共同研究の第二弾。
第一弾は20~70代までの生活者1.8万人に対して調査を行い、20~74歳の2人に1人(51.2%)が「夢中」になれるものを持っており、17.3%は「自分軸の夢中」を持っていることなどが分かった。また、「自分軸の夢中」を持つ人の人生満足度が、夢中なものを持たない人に比べて2倍高いことも判明した。(詳細は博報堂の2025年5月21日リリース)
第二弾の今回は、回答者を50~74歳の「自分軸の夢中」を持つ1500人に限定し、“人生後半戦”の「夢中のあり方」をインターネットで調査した。(調査時期:2025年3月)
なお、本共同研究における「夢中」とは、「とても好きで、そのためにある程度時間をかけているものごとがある」を意味する。「自分軸の夢中」とはおもに、他人の評価とは関係なく、自分自身が好きだから夢中になれるものごとがある状態を指す。
「夢中」との出会いは「マスメディア」「人の勧め」
「自分軸の夢中」を持つ回答者は、「夢中」になれるものとどのように出会っているのか。きっかけを聞くと「マスメディア」もしくは「人からの勧め」を選んだ人が58.3 %になった。自由記述の調査でも「友人やメディアを介した偶然の出会い」が約30.8%で最大になり、他人に左右されない「自分軸の夢中」を持つ人であっても、最初のきっかけは外的要因による偶然の出会いが多いことが浮かび上がった。
(図表1)夢中なものごとに興味を持つきっかけ

6つの「夢中モード」
続いて、夢中になっている時の「好きの感じ方」を19の選択肢から答えてもらったところ、回答は「ささやかな幸せ」「わくわく」「夢中自覚」「癒され」「生きがい」「心の支え」の6項目に集中し、全体の82.3%を占めた。
この6項目を「モード」として分類し分析したのが以下の表。例えば「ささやかな幸せ」モードは60代女性に最も多く、好きなジャンルは「歩く系」が多いなど、モードごとに年齢・性別の傾向や「夢中のあり方」に違いがあることが分かった。
(図表2)6つに分類される「夢中モード」と、それぞれの「夢中のあり方」の特徴

楽しむ時は「一人」、人間関係の広がりも
「自分軸の夢中」を持っている回答者たちは、どのように「夢中」を楽しんでいるのだろうか。調査では65.5%が「一人で」楽しんでいると答え、2位の「恋人・配偶者と」を大きく引き離した。 一方、49.3%の回答者が「夢中なものごとを通じて人間関係が広がった」と回答。「どちらともいえない(25.5%)」「人間関係は広がっていない(25.3%)」の約2倍のスコアとなった。
(図表3)多くは一人で楽しむ

(図表4)人間関係の広がり

「夢中になれる」ことは、自分らしい生き方やウェルビーイング、交友関係、ひいては消費行動など、多方面に強い影響をもたらし得る。
日本人口の2人に1人が50歳以上(※)となる中、50歳以上の消費動向や嗜好は、マーケティング領域において重要なテーマと言える。本調査が示す「夢中になること」の効用や「6つのモード」、傾向などは、重要性を増すシニアマーケティングにおいてもヒントになりそうだ。
※総務省統計局 人口推計 2025年5月報