企業とともに、既存の広告の概念を打ち破るような施策を実現したい
徳力 XGは、デビュー初期からナイキやマクドナルド、コカ・コーラなどグローバル企業の広告に起用されています。個人的には日本企業である資生堂の広告に起用されたのが嬉しくて。グローバルでビジネスを展開する日本企業が、XGと一緒に世界中にファンを増やしていく動きが増えていくといいなと期待しています。
SIMONさんから、「XGと日本企業でこんなコラボレーションがしたい」というリクエストがあれば、ぜひお願いします。
資生堂 ANESSA × XG「輝いている人は、楽しんでいる人だ」篇
SIMON ブランドのアイデンティティやプロモーションの目的を明確にした上で、その企業がこれまでに出したことがない高品質のコンテンツを一緒につくっていきたいですね。
予算をかけてリッチなものをつくりたいという意味ではなく、「THE 広告」の概念を壊すようなものを実現したいんです。音楽界に衝撃を与えたように、広告界にも衝撃を与えたいと考えています。
私は、1980年代の資生堂の“アート”にも近いような広告が大好きなんです。いわゆる「広告」以上の質を追求する、チャレンジングな広告です。企業とXGがコラボするなら、誰も想像だにしなかった、広告界に革命を起こすような、歴史に残るようなタイアップをやりたいです。
徳力 XGが出演している広告は、すでにそういう雰囲気を感じますよね。デジタル広告の影響もあって“説明口調”の広告が増えている昨今ですが、MVに近いコンテンツとしてつくられている気がします。そういう「広告ではなくコンテンツ」をつくる意識がある企業と仕事をするようにしているのですか。
日本マクドナルド「リアタイマクパ with XG」篇
SIMON はい。これまでに実現したタイアップは、広告主企業とXGがお互いの思いや姿勢を共有し、「どういうものを実現していくといいか」をよく話し合いながらつくり上げました。
“MV風”ばかりになるのも、ある種の固定観念ですよね。商品中心の広告でもいいし、もしそれが有効なら、XGが主演でなくてもいいと思っているんです。
様々なメディアに、膨大な数のショート動画が溢れています。コンテンツを生み出す立場としては、広告界に革命を起こしたい思いがあります。それが企業にとってもプラスポイントとして我々ができるお仕事なんじゃないかと。「XGが出ている広告って、他と全然違っていいよね」と言われたいですね。
挑戦する人・企業へ「批判を食べてエネルギーに変えろ」
徳力 ファンの間では、XGは「コロナ禍が生んだ奇跡」で、二度と同じようなグループは日本からは生まれないとの言説も見られます。これからSIMONさんやXGと同じような、常識を超えた挑戦をしようと考えている人にアドバイスをするとしたら何と声をかけますか。
SIMON 批判は、ありがたく「食べる」に限ります。批判をエネルギーに変え、筋肉量を増やすんです。私たちは、限りある時間やお金をかけて、皆さんに見ていただく立場です。万人から心優しく受け入れられるなんて、逆にちょっと気持ち悪いですよね。
批判がないというのは、孤独で寂しいこと。何事もなく、常に平常心でいられるような平穏な社会に、人間は生きがいを感じません。ある程度のプレッシャーはあったほうがいいし、上手くいかないよと言われたときに「今に見てろ!」と奮起するピュアなエネルギーこそ、生きがいにつながるのではないでしょうか。注意が必要なのは、批判を受け入れることとそれに左右されることは別物だということです。また、非難と批判を分けて捉えること、批判の内容を整理・理解することも重要だと思います。
XGの成功がコロナのおかげだと言われれば、確かにそうだと思います。XGのような存在は、確かにもう二度と生まれないかもしれません。
ただ、XGとはまた異なるすごいグループが出てくる可能性は大いにあると思います。コロナ後にはコロナ後の困難があり、そのプレッシャーを乗り越えて生まれてくる新たな存在を、楽しみにしていたいと思います。
対談後記
今ではXGは日本でも様々なテレビ番組に露出するようになっており、日本発のグループが最初から世界を意識して活動することで、世界に知られることができることを疑う人は少なくなっているはずです。
ただ、SIMONさんがXGALXプロジェクトを2017年に立ち上げた時、日本人の7人組のグループが、デビュー3年でコーチェラのSaharaのトリを飾り、ワールドツアーで40万人規模の動員に成功すると予言しても、きっと誰も信じてくれなかったと思います。
そんな中でXGのようなグループを生み出せると信念を持って来日したSIMONさんの決断には、あらためて尊敬を通り越して畏怖の念すら感じるインタビューでした。ある意味ファン目線ではありますが、XGのように業界の常識にとらわれず、自分を信じて挑戦することの重要性をこれほどまでに体現しているグループもないのではないかと思います。
これからSIMONさんとXGが、私たちにどんな景色を見せてくれるのか、引き続き注目したいと思います。(徳力基彦)

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