動画メディアを中心としたコンテンツホルダーが集結したイベント「REC ONE」(主催:ブライトコーブ)が9月4日、東京・渋谷で開催された。ナイアンティックの足立光氏、HEART CATCHの西村真里子氏、ブライトコーブの北庄司英雄氏(当時)の3名が登壇し、「若者の可処分時間をどうすれば奪うことができるのか」について考えた。
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“なんとなく見る”コンテンツの強化が大事になる
セッションの冒頭では、登壇者の西村氏が本イベント開始直後に「若者の可処分時間消費の実態」を調べるために渋谷の街へ突撃取材に出た結果が報告された。
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取材対象は、街にいた女子大学生や30代のオタク男性、オーストラリアからの観光客など7名。朝起きてから夜寝るまでの時間で、スマートフォンでどんなメディアを見ているのか、必ず起動させるアプリはあるのかなどを聞いた取材動画がスクリーン上に写し出された。
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どんなコンテンツを見ているかという質問では、次のような回答が紹介された。
- 寝る前にYouTubeで咀嚼音のASMR動画(音フェチ動画)や事故物件に住んでいる芸人の動画を見ている女子大学生
- ニュースアプリの「スマートニュース」でサッカー情報を見ている男子大学生
- 毎日20時にジャニーズJr.の5グループが各曜日を担当して配信している動画を見ている女子高校生
- インスタ映えする店を紹介してくれるからBS日テレを見ている女性大学生
インタビュー動画を見た足立氏は、「これらを総評するのは難しいが、今の時代は朝起きてスマートフォンを見る、電車に乗ったらスマートフォンでニュースや動画を見るなど、目的をもってメディアを見ているというよりも、なんとなく見ている人が多い印象。そういう人の数は多いため、“なんとなく見る”というメディアに出やすいコンテンツを意識してつくった方がいいのではないか」という考えを語った。
また、「なんとなく見ている人が多い中で、配信時間が決まっている動画を見に行く若者がいるのは珍しい。テレビもそういう時間が決まっていても見たいと思わせるコンテンツを強化するべきではないか」とコメントした
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北庄司氏も「どんなものでも好きなときに見ることができ、いつでも消費できる現代。指定した時間に見てもらえるコンテンツこそ一番価値が高い」と話した。
それに対して西村氏は、「動画をテレビよりもYouTubeを見るライフスタイルの若者が多い中で、インスタ映えするコンテンツを分かりやすく編集して紹介しているからという理由でBS日テレの番組を見ている若者がいたのが面白い。編集されたコンテンツの強みもあるはず」と分析。
それを受けて足立氏は、「面白いコンテンツをつくることに関して、テレビはネットに勝てる要素がないと思っている。その理由はまず、公共放送でもあるテレビでは言えないこと、できないことなどの規制が多いこと。さらに外資系の大手ネット企業と比べて、ひとつのコンテンツに投下できる資本力が違う。単発ならともかく、日本のテレビ局が大手ネット企業より面白いコンテンツを継続的につくり続けるのは難しいのでは」と話した。