7:質問力


 2日目は朝からバーガーキングの社長に宿まで来ていただいて、コンペ参加者がいろいろと質問をぶつける会です。みんなのQ&Aを聞きながら、昨晩考えた企画は成立するか、お題に合っているかを頭の中で検証していました。

 ただ、僕らのチームはなかなかいい質問が思い浮かばず、他チームはあれよあれよと質問を投げかけ「これもう答えなんじゃないか」という回答が社長から出たりもして...そのうち、とある質問とその回答が、昨晩の本命企画とかぶってしまい絶望しました。

「質問って大事だね」と松木・竹内で落胆のお昼を食べながら3度目のアイデア出し。結局、昨晩出たもう一つ。「化けるかもしれない1案」がまとまりそうだったので、もうこれに決めてしまえと企画書作業開始です。

<2日目>
7時半:朝食
9時:質疑応答会
11時:昼飯(パンケーキ)
13時:企画書作業開始
これ以降は翌日朝の資料提出まで自由時間
 

8:領域侵犯


 松木はコピーライターで竹内はデザイナーなので、それぞれの専門領域があります。が、企画書作業はお互いの領域にずけずけ口を出し合いながら、一緒に進めました。竹内は竹内で「こういうコピーは好きじゃない」みたいなことも言うし、松木も松木で「レイアウト違くね」みたいなことを言い合っていました。

 本来、企画の前ではみんなが対等なので、そういうことが言い合えたのはとてもよかった。特にコピーを書いているとどんどん沼に入っていって、複雑になりがち。今回も僕がうだうだ悩んでいるところに横から見ていた竹内くんがシンプルな企画タイトルを提案してくれて「わ、それだ」となりました。

 きっちり分業するよりも、お互いの領域に遠慮なく入っていけるほうがきっといいのです。キービジュアルをつくるところまでは意見をぶつけ合い、悩み合いながらじっくり作れました。

<2日目>
13時→19時:キービジュアル
 

9:前段≠マーケティング


 ちゃんとしたプレゼンなので、一応なにかしらの「前段」が必要だろうと思って松木の判断でこしらえました。なにより、日本中からマーケターが集まるイベントなわけだし、マーケティングっぽさ大事でしょと思い、プレゼンの冒頭5-6ページは、外部環境→強みの整理→課題設定…みたいに作ってみました。

 しかしこれ、今思うと全然いらなかった。プレゼン時間が3分と、かなり限られている中でそこを説明しても入ってこない。ターゲットが誰で、どんな課題があって、どんな狙いがあるかは「資料で説明する」のではなく企画を通して自然と「伝わる」のがいいのだろうなと。

 もう一度やり直せたら、前段は作らず、アイデアパートからプレゼンするだろうなと思います。そもそも前段が必要か考える。今後の仕事にも活きる発見でした。

<2日目>
19時→21時:前段書く
 

10:展開できる企画は、いい企画


 今回の企画でたまたま上手くいったのが「展開案」でした。一つのコンセプトを軸に、Webではこんなギミックができる、屋外広告ではこんな遊びができる。そのアイデアがぽんぽん出てくるときに企画の強さを確信します。

 日々の仕事でも、プレゼン後、展開案でひと盛り上がりするときがあります。クライアントさんから「こんな展開案もありですかね?」なんて返ってきた時には「おっ」と手応えを感じます。たぶん骨太な企画であればあるほど「いくらでも展開できる」という可能性を示せるのだろうと思います。そんなこんなで、深夜には企画書がまとまりつつありました。

<2日目>
21時→25 時:企画書仕上げる
 

11:話せる企画は、いい企画


 3分でスムーズに話せる自信がなかったので、企画書が粗方できてからはプレゼン練習を一人でぶつぶつやっていました。

 ちなみにプレゼンは2回あります。

一次選考:小部屋で全チームが審査員にプレゼン

最終選考:壇上で勝ち上がった数チームがイベント参加者全員に公開プレゼン

 数百人の前でプレゼンなんて生まれて初めて。ちゃんと準備しようと思って練習していたのですが、数回やったあたりで「めっちゃ話せるぞ」となりました。これにはきっと理由があって、「プレゼン緊張するわ…」と思いながら資料をつくっていたので、企画書作成そのものがプレゼン練習になっていたというか。スムーズにプレゼンすることを視野に入れた企画書作成になっていたので、説明資料をつくるのではなく脚本をつくっていたような感覚でした。

 とはいえ、余裕綽々ということはなくて...話し方はかなり意識して普段とは変えました。特に注意したのは楽しそうにプレゼンすること。マーケティングアジェンダ参加者からしたらちょっとしたイベントなので、聴いていて楽しいものにしたほうが得するだろうと思い、かしこまらずカジュアルにプレゼンするよう心がけました。

<2日目>
25→27 時  プレゼン練習(松木)、デザイン詰め(竹内)
 

12:笑える企画は、いい企画


 いざ一回目のプレゼンに臨みます。幸運なことに僕たちの企画は「笑える企画」になっていました。プレゼンしながら審査員の皆さんニヤニヤニヤニヤ、声をあげて笑ってくれる人もいて...(明るい空気をつくってもらえたの、とてもありがたい…)手応え抜群。プレゼンが終わって、いい企画だったんだね、よかったねと松木・竹内で讃えあいました。
 

13:うれしいのもくやしい


 1次プレゼンは通って最終プレゼンに臨みます。数百人の前で話しながら、プレゼン中に拍手がおきたのは一生忘れないでしょう。壇上から降りる時「よし勝った…」と思うほどに手応えがありました。



 結果的には優勝は逃してしまい、ゴールドに…(残念)。ただ、グランプリの企画はたしかに面白くてちゃんと刺さるので、まあ仕方ない。プレゼン後、いろんな人に「君たちよかったよ!」と言ってもらえてうれしいような…ただ、うれしがってる自分もあんまり認めたくないな…という複雑な気持ちで僕たちのヤング・クリエイティブ・アジェンダは幕を閉じました。
 

14:飲んだほうがいい


 プレゼン後は流れ解散で、みんなの話を聞くこともなくそれぞれ帰路につく感じに。昼頃にはプレゼンが終わってしまうのと、マーケティングアジェンダ全体としてはまだプログラムが続くので、コンペ参加者が宙ぶらりんになってしまうのです。気持ち的にはみんな飲みにいきたかっただろうな(沖縄だし)

 ナノベーションさん!ここ、もったいないです!来年はぜひ飲み会を!
 

15:沖縄企画旅


 翌日は首里城(復興中は今しか見れない)に行き、ハンバーガーを食べ、ソーキそばを食べ、ステーキを食べなどしつつも、竹内くんと話すのはわりと企画の話で、「他のチームのこの切り口は新しい」「もっとこうするとよくなる」(偉そうに)とか、企画会議な感じでいろいろと話しながら1日観光して終了。これにて沖縄企画旅は終了です。
 

16:人は意外と見てくれている


 開催場所は沖縄だし、特にそんな反響もないだろう…なんて思っていたのですが、東京に帰ってからはいろいろな人から連絡をもらいました。個別にもきたり、会社の人にも連絡がいってたり。たぶん会場でプレゼンを聞いてくれていたのがマーケターの方々だったというのが大きいと思います。

 クリエイターからマーケターにプレゼンする機会って実は業界的にもきっとこのコンペくらいで、本当はもっとあるべき姿なのかもと思ったりしました。緊張もしたけれど、今思えばとても楽しい企画旅。今後の参加者のみなさんの参考になれればうれしいです。
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