CONTENTS MAKER INTERVIEW #01

生活者の「リアルな声」で支持を拡大。月間600万超ユーザー誇る「ヨムーノ」武田史子氏インタビュー

 不動産・住宅の売買情報サイト「オウチーノ」が運営する、暮らしのトレンド情報を配信するWebメディア「ヨムーノ」。2017年10月のリニューアルから1年間で月間ユーザー数が50倍となる500万を突破し、2019年1月には680万と成長し続けている。編集長は、ベネッセやDeNAなどで活躍してきた武田史子氏。生活情報メディアが乱立する中で、後発である「ヨムーノ」が伸長できた理由について、武田氏に話を聞いた。
 

書き手にこだわることで、ユーザーの信頼を獲得

オウチーノ「ヨムーノ」編集部 編集長 武田史子氏

——「ヨムーノ」の2018年10月の月間ユーザー数は、前年同月比50倍の523万。リニューアルから1年で、これだけ急激に伸ばすことができたのは、なぜでしょうか。


 リニューアル前の「ヨムーノ」は、オウチーノのオウンドメディア的な立ち位置で、住まいに関するアンケートデータなどを記事化して配信していました。それを2017年3月にオウチーノの経営体制が変わり、2017年10月に20~40代女性向けの「暮らしメディア」として方向転換しました。

 その後、2018年2月に私が入社し、メインターゲットである「今どきの忙しい女性」に「今はもちろん、一生楽しく賢く生き抜く」ための情報を届けたい。そのためには、①忙しい女性が読みたい時間に読みたい情報を「ニュース」としてシンプルに届ける、②既婚女性の「資格や強み」を記事に生かし、質を担保にこだわったことがユーザー増加につながりました。
 
 オウチーノが提供するライフスタイルマガジン「ヨムーノ」
 

——とは言え、暮らし系のメディアは数多くあります。後発で、ここまで伸びたのには、また別の理由もあると思うのですが。


 そうですね。一番大きいのは、ナマの情報を提供してくださる情報提供者にこだわったことです。私は、これまでベネッセで育児系雑誌『ひよこクラブ』を7年、その後は生活情報誌『サンキュ!』を約10年担当して編集長も務めました。その経験から、本当に役立つ情報は「自分と同じような暮らし」をしている人が実践している工夫の中にあるということを実感していました。

 そこで、ヨムーノの記事は、整理収納アドバイザーや管理栄養士など、暮らしに関する資格を持つ方、何かにこだわりのあるインフルエンサーやマニアの方にご自身が実践しているリアル情報を書いていただいています。それから、もう一つ「ヨムーノメイト」という「暮らしの達人」のインスタグラマー組織を立ち上げました。
 

——ブロガーではなく、インスタグラマーですか。


 はい、2018年9月から開始し、現在は175名のインスタグラマーが「ヨムーノメイト」に名を連ねています。多くのフォロワー数を抱える方なので、暮らしへのトレンド感度も発信力も高く、コメント欄もいつも盛り上がっています。

 編集部が読者ニーズの高いお題を出し、それに関する投稿にご協力いただき、編集部がその中から特に素敵なものを厳選して記事化しています。ヨムーノメイトさんのアイデアは「すぐ実践できるトレンド」としての実用度が高く、その結果、記事がとても話題になるようになりました。
 
 「ヨムーノメイト(ヨムーノ公式インスタグラマー)」どんどん増えてます!新メンバーを一挙公開
 

生々しいリアルと、編集のプロのハイブリッドが鍵

——ユニークな仕組みですね。最終的に、クオリティを管理するのは編集部の役割ということですか。


 はい、「ヨムーノメイト」や「有資格者・マニア」の方々には、人がマネしたくなる生のトレンドを提供いただく形です。編集部は、校正はもちろん、読み手に「厳選した決めの提案」として使えるよう編集する形で、お互いの分業で成り立っています。こうした取り組みの結果、メディア全体のクオリティが底上げされ、結果的に飛躍的にユーザー数が伸びました。
 

——「ヨムーノメイト」に参加しているインスタグラマーは、どのようなメリットを感じて協力しているのでしょうか。


 自分のアイデアがメディアを通すと、よりたくさんの方に読んでもらえることを喜んでいただいています。また、Instagramで人気を集めている人と同じコミュニティに参加していること、一緒にトレンドをつくる楽しさにも魅力を感じてくださっているようです。
 

——この発想は、どこから生まれたのですか。


 以前、雑誌の編集者だった時、読者の家に行って冷蔵庫を開けて、家計簿を見せてもらうという取材をしていました。その“生感”から出てくるものや、取材先の方が実際に使っている言葉が人の心にささるという実体験があったのです。

 それがインターネットでは、Instagramでした。きれいな画像を載せているけれど、その中にヒットの原石や、すぐマネできるトレンドがあるのでそれを有効活用する手はないものか、と考えました。でも、それをそのまま出しても伝わりにくいので、生々しいリアルとプロの編集力をハイブリッドしたものが「ヨムーノ」です。

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