マーケティングは、街にどう貢献できるのか #07

渋谷区が進める「都市間連携」から見えてきたメリットと可能性【後編】

渋谷の都市間連携から見えてきたこと

 広島県との連動では、都市間でのアイデアと資産を持ち寄り、リアルにつながる実験を街で行い、イノベーションに繋げていくこと。深セン市南山区では、行政連携から国内のスタートアップ企業を世界につなげると同時に、渋谷という街をスタートアップが生まれる場所として世界に向けてブランド価値を高めるということ。そして札幌との連携は、共通の課題やテーマを見つけ、お互いの良さを活かして活性化していくことを議論し、それぞれの街に互いの街をインストールして実行に移すことである。
 

都市間連携の意義:


 さて2019年度に向けて計画を練っていると触れたが、来季は国内外問わずさらに範囲を広げて複数の地域と連携できたらと思っている。東京都内の他の地域とも連携できるはずで、我われから積極的に外部に出て話をする機会を持ちたいと思っている。

 都市同士で話をすると、企業間では出てこないような社会的な課題やユニークなアイデアが出てくることがメリットである。そんなことを考えると、タイミングを逃さず、都市間でどんどん連携することが大事である。

 各都市のニーズや期待から共通して言えることがあるとしたら、渋谷というフィールド、つまりメディア的な発信力や多様性を受け入れる環境を使って、地域をプロモーションして欲しいと言ったことも多いが、それだけではなくこの渋谷の魅力は人材やアイデアの宝庫であり、物事を実現するプレイヤーが凝縮されていることが大きな魅力となっている。ぜひ、この土壌を活用してもっと連携を深めていければと思っている。

 日本は、超高齢社会に突入し、この課題をどのように乗り越えていくかが注目されながら、個人の志向は、消費ではなく、どこでどのように生きていくかに重みがシフトしてきている。

 各地方都市は、それぞれの地域特性や条件が異なりながらも、どんな地域でも人々にとって普遍であるべきもの、改善されるべき事柄がある。日本は従来、農耕民族からの歴史もあるのか、人や地域との繋がり、そして自然や文化の継承においては世界に誇れる強みを持っている。各都市で持続可能なモデルをつくり、それを世界に向けてつくれるチャンスが日本には訪れていると思っている。

 そのためには、ひとつの地域だけで物事を進めるよりも、共通の課題解決に向けて、都市同士が連携し、日本の将来を見据えた共創・共同実証実験を進めていくことで新しい社会への動きがつくれると同時に、都市間連携のモデルケースがつくれたらと思っている。
 
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