よなよなエールのマーケターが迫る!ファンベースの最前線 #02

レクサスに学ぶ「ファン育成」 鍵は人による“リアルな関係性”にあった

メーカーがブランドの方向性を決め、販売チャネルがファンを維持する

稲垣 ブランドをつくるメーカーと、顧客とのコミュニケーションを担う販売会社が分かれているモデルでは、レクサスのような顧客との関係性づくりの手法は、新規顧客の獲得という面でも応用できそうですね。

こういったケースでは、ブランドをマネジメントするメーカーはどのような役割を果たすべきでしょうか。

高田 耐久消費財における紹介中心の新規顧客開拓の弱点は、顧客とブランドの高齢化だと思います。顧客は知人を中心に紹介するわけですから、当然、新規顧客も同世代の人が多くなりがちです。これを繰り返すと、顧客は徐々に高齢化し、ブランドも高齢化していくと考えられます。

 そこで、メーカーのブランド・マネジメント戦略としては、新しいイメージや価値を広告・プロモーションによって打ち出したり、これまでとは違うコンセプトの新製品を投入したり、あるいは都会の情報感度の高い層を媒介に、肯定的なブランドの評価を広めたりといった戦略を積極的に行い、ブランドをリフレッシュしていく必要があります。

 レクサスが2013年に表参道にオープンしたブランド活動発信拠点「INTERSECT BY LEXUS」はそういった狙いでつくったものです。車だけではないレクサスの世界観を広げるために、あえて大胆にレクサスの車をほとんど置かない構成にしました。既存顧客による紹介・推奨では届かない層に「最近のレクサスは意外と良いな」と思ってもらうのが目的です。

 こういったブランドと販社の明確な役割分担は、自動車のように「販売チャネルが単一のブランドしか扱わない」モデルの場合、非常に有効に機能すると思います。

稲垣 確かにそうですね。高級車以外ではどういった業界で応用可能でしょうか。 

高田 いくつかの切り口がありますが、不動産などは、デベロッパーのブランドがありつつも、営業マンの顧客との関係性構築が重要という点で似ていると思います。とくに別荘などは、メンテナンスサービスも商品の一部であるということや、既存顧客からの紹介が重要ということ考えると、この手法が参考になるのではないでしょうか。
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