マーケティングで社会課題を解決できるか #03
「お前の趣味に、お金を使えない」リクルートでの精子ビジネス立ち上げをどう説得できたのか
新しい命に繋がるサービス
さらに、開発段階でも「Seem」の事業化を決定づける大きな出来事がありました。社内でユーザーテストを行ったところ精子の状態が悪いメンバーが見つかり、医療機関の精密検査で無精子症と診断されました。このメンバーは妊活を始めて2カ月目だったのですが、すぐに高度な治療を開始することができ、「Seem」を使用してから半年後にはパートナーが妊娠し、無事に元気な女の子が誕生したのです。通常、妊活を始めてから半年だとまだ女性も病院に行っていないケースがほとんどです。「Seem」が男性の行動変容を実現することで、妊活・不妊治療の流れが大きく変わり、新しい命の誕生に繋がるということが証明された瞬間でした。
日本では深刻な少子化が進み、年間の出生数は100万人を下回っています。しかし、将来子供がほしいと考えているカップルは600万組もいるのです。妊活を始めるときにはそのすべてのカップルに「Seem」を使ってもらい、はじめから男性も一緒に行動を起こしてほしいと思っています。
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