キャラクタービジネス最前線!サンリオの改革を追う

ハローキティ45周年。激動のキャラクター市場を生き抜く、サンリオのマーケティング戦略

プロダクトとキャラクターのマーケティングの違い

 ――木村さんは、P&Gやソニーでメーカーのマーケティングも経験されています。メーカーでプロダクトを扱うことと、サンリオでキャラクターを扱うことの違いを感じることはありますか。


 基本的な考え方は、同じです。「What」「Who」といった考え方を使い、お客さまであるファンを見据えてマーケティングに取り組んでいます。ただし、唯一違うと言えるのが「How」です。先ほどご紹介したように「How」に企業へのライセンス提供というBtoBの要素が加わるのです。

 現在は、ブランド戦略チームが営業チームの支援を始めています。メーカー企業の営業でも、小売との商談で必要に応じてテクニカルエンジニアやR&Dの担当者が同席しますよね。サンリオも同じように、必要に応じてマーケティング本部のブランド戦略チームの担当者が同席して、相手先に合わせたキャラクターの提案を行っています。


 

マーケティング本部がプロトタイプ店舗をオープン

 ――木村さんは昨年1月に入社されて4月にマーケティング本部を立ち上げられました。現時点で、どのような成果が得られていますか。


 正直なところ、具体的な成果を得るには、もう少し時間がかかると考えています。キャラクター市場は、ソフト産業として成長領域の1つであり、投資する会社資本も多岐にわたります。ゲームキャラクターや映画キャラクターなどに加えて、グローバルで人気を集めるキャラクターも増えています。NetflixやYouTubeなどの動画配信サービスが普及し、かつてと比べるとキャラクターの育成手段も増えました。そうした環境で、我々は他社のキャラクターと差別化を図りながら、地道に変革を続けていくしかないと考えています。

 その一環で、マーケティング本部が直営のサンリオショップのプロトタイプをつくりました。通常、プロトタイプは店舗運営の部署がつくります。ただし店舗は、お客さまとの重要なタッチポイント。お客さまにサンリオショップへ来てもらい、そこでキャラクターの魅力を感じてもらえれば、必ずその店舗以外でもアクションを起こしてくれますし、サンリオピューロランドにも行ってくれるかもしれません。
 

 ――そのプロトタイプでは、具体的にどのような体験を設計されているのですか。


 実はつい先日、そのプロトタイプを実現するために関東のある商業施設内の店舗をリニューアルしました。そこでは子どもたちが簡単に遊べるゲームや商品に触れられるコーナーを設けました。そうして滞在時間が長くなればなるほど、ブランドとの接点が生まれて購入のスイッチが入ります。

 今後も継続的に改善していくため改装前とのお客さまの動向の変化を追っていきたいと思っています。店頭前の通路を歩く人の数を把握しつつ、入店率も増加しているのかどうかといった仮説検証を含めて細かく分解して店舗を評価したいと考えています。
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