特別インタビューSponsored
クリエイターズマッチ呉社長の挑戦「クリエイターが働きやすい環境を実現する仕組みを創り続ける」
国を挙げた働き方改革の中で、広告業界の労働環境も改善の方向に向かっている。しかし、小規模なプロダクション、フリーランスのクリエイターの中には、まだまだ労働時間が長い上、収入も伸びないなど過酷な環境にある人も多い。今年4月に働き方改革関連法が施行され、企業は時間外労働をさせない義務や年次有給休暇を確実に取らせる責任も生じる。こうした法規制以前から、クリエイターの就労環境の改善に向けて奮闘してきたのが、クリエイターズマッチ 代表取締役の呉京樹氏だ。同社が手がける新サービスの紹介と合わせて、これまでの呉氏のチャレンジについて話を聞いた。
クリエイターズマッチ
代表取締役
呉京樹氏 1976年生まれ。兵庫県出身。デジタルハリウッドを卒業後、ゲーム会社・映像制作会社にてデザイナーとして活躍。その後、営業としてソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社入社。営業マネージャーを経て、2006年独立。Web制作会社の創業を経て、オンライン広告の拡大を予測し、バナー・LPの制作に特化した株式会社クリエイターズマッチを2007年に設立。同社代表取締役。
代表取締役
呉京樹氏 1976年生まれ。兵庫県出身。デジタルハリウッドを卒業後、ゲーム会社・映像制作会社にてデザイナーとして活躍。その後、営業としてソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社入社。営業マネージャーを経て、2006年独立。Web制作会社の創業を経て、オンライン広告の拡大を予測し、バナー・LPの制作に特化した株式会社クリエイターズマッチを2007年に設立。同社代表取締役。
クリエイターの学びの環境も、良い労働環境もなかった
——呉さんは現在、クリエイターズマッチの経営者としてご活躍ですが、もともとはご自身もクリエイターだったそうですね。はい、僕は映画に興味があり、CGを勉強しようと1999年にデザイン専門学校に入学しました。しかし、半年間ほど通いスキルを身につけたのですが、卒業後約1年間、就職先が決まりませんでした。当時の環境もあったと思いますが、僕の記憶では約40人のデザイン専門学校の同期のうち、就職できたのは3人だけという就職率の低さです。
そこで気付いたのが、デザインの評価基準が数値化されておらず、採用側の好みにあったクリエイターになっているということ。また、専門学校で生徒に教えていることと、企業が求めているスキルが違うということでした。
——就職できない期間、呉さんはどうされていたのですか。
フリーのCGクリエイターとして、複数の仕事をかけもちしながら、徹夜の連続でなんとか作品をつくり、ポートフォリオを抱えて就職活動するという生活を1年ほど続けました。その後、縁があって就職した先は、メーカーの下請けの映像会社でした。
20代の頃は、映像会社のほか、CG制作のプロダクションでも働きましたが、徐々にクリエイターの労働環境に問題意識を持つようになりました。週に数日間は会社に泊まって家に帰れないのに、給料は月15万円をもらえるかどうか。仕事をしても自分の名前が世の中に出ることもないため、キャリアアップも難しく、昇給制度も労務規定もない世界でした。
バナー職人を育て、クリエイターを幸せにする。
——そうした問題意識から、クリエイターズマッチを設立されたのですか。はい。2007年にクリエイターが働きやすく収入もしっかり得られる環境を整えようと、クリエイターズマッチを創業しました。仕事が欲しいクリエイターと、発注したい企業をマッチングさせるサービスです。
特に注目したのが、バナー広告。当時もインターネット広告市場は伸びていましたし、バナー広告の制作という仕事は無数にあるため、デザイナーの生計が立てられると考えました。自分の出身学校に相談し、卒業後の働き方のひとつとして紹介してもらいました。
しかし、当初は全くうまくいきません。というのも、デザイナーの制作物が企業の求める納品レベルに追いつかないだけでなく、そもそもビジネススキルも足りていなかったのです。
——ビジネススキルが足りない、というのは?
それは納品日を守れない人、突然連絡がつかなくなる人が続出したのです。私たちには企業から「約束の納品日なのに、デザイナーと連絡がつかない。どうしてくれるんだ!」というクレームの連絡が来るようになりました。
そこで事業を一旦クローズして、まずはデザインのみならずビジネススキルもあるクリエイターを育てるためのスクールを全国でスタートすることにしました。そうした教育研修を自治体と協力しながら開催して、実力をつけたデザイナーが育つことで、制作物の質も安定するようになったのです。
研修を開始した当初、「バナー広告でデザイナーを幸せにします」と呼びかけても誰からも見向きもされませんでしたが、現在では地方でセミナーを開催すると、100人以上が集まるようになりました。
——どういう人が集まるのでしょうか。
デザイナー経験のある主婦や職業訓練校でデザインを勉強した人など、すでに社会人として働いている人が多いですね。これまで全国各地の、数十の市町村と連携しクリエイター育成を行ってきました。ようやく僕が思い描いていた世界が実現してきた感じですね。
クリエイターの業務効率化を実現する仕組み創り
——クリエイターのスキルが向上して、クリエイターズマッチのビジネスも安定してきたわけです。はい。そして、その次の課題がクリエイターの労働環境の改善でした。デザイナーが業務中に何に時間を使っているのかを調べたところ、実は働いている時間の半分以上がクライアントからの確認待ちの時間だったり、案件をエクセルで表にしてリスト化したり、といったデザイン以外の仕事だったのです。
その無駄な時間を減らして、デザインの仕事に注力できるようになれば、仕事の質が上がるのはもちろん、案件が増えて収入も増えるだろうと考えました。そこで開発したのが、制作管理のプラットフォーム「AdFlow」です。
「AdFlow」は、バナーだけでなく、Webサイトやチラシなど、さまざまなクリエイティブの制作工程を管理できるツールになります。制作物の発注から納品までのフローを可視化し、データを一元化できるため、煩雑なメールやファイルのやり取りから解放されるのです。当初は、営業活動に苦戦しましたが、徐々に導入企業が増えていきました。
——最初に導入した企業は、どのような業種だったのでしょうか?
意識の高い、一般企業や広告会社のクリエイティブ部門でした。自社の業務を効率化するという目的で導入していました。
その後に、大手広告会社の不幸な事件も起きて、広告業界全体の働き方に対する注目度が高まり、さらに制作会社からも問い合わせが増えるようになりました。あの事件以降、社会全体の考え方が大きく変わり、納品管理や勤怠管理に意識が向き、導入社数はそれまでの1.8倍になりました。
——今回、新たに提供を開始した「AdFlow Proof」は、どのような機能ですか?
「AdFlow」の一機能を切り出して、校正作業に特化したサービスです。「AdFlow」によってクリエイターの業務の40%を削減できるようになったのですが、さらにその先の校正を効率化させたいと考えたのです。
それは、例えば、デザイナーがクライアントに送付したデザインの修正指示がPDFなどで送付されてきて、それをデザイナーが開いて修正箇所を確認して、実際に作業した後に再びPDF化してメールで送付するなど、一連の作業に時間がかかっていたのです。そこで「AdFlow Proof」では、Webサイトや動画、画像、PDF、Officeなどを簡単にアップロードできます。
そのデータをツール上で一元管理して簡単に確認が行え、コメント機能で修正指示ができたりと、校正業務の大幅削減を実現しました。今後は5Gによる動画の時代が到来します。「AdFlow Proof」の革新的な面は、動画の修正にも対応していることです。
「AdFlow Proof」特徴①:Webページのスクリーンショットは必要ありません。URLの入力だけで自動的にページキャプチャされ、すぐに校正・修正依頼ができます。
「AdFlow Proof」特徴②:パワポを立ち上げて、コメントを書く必要はありません。修正したい箇所を指定してコメントを入れるだけで修正依頼ができます。宛先の指定でメール通知されます。
「AdFlow Proof」特徴③:校正の抜け・漏れをなくします。コメントが自動的にタスク化され、ステータスを管理できます。また、タスクごとにチャットが可能で、認識のズレを防止します。
「AdFlow Proof」特徴④:修正過程を管理でき、先祖返りも防止します。自動的に最新版が整理されます。また1案件で複数のファイル(ページ)を管理でき、Webサイトやカタログに最適です。
「AdFlow Proof」特徴⑤:プレミアムプランでは動画レビューにも対応しており、動画を再生しながら、気になる尺でコメントを入れることができます。どの尺に修正指示があるか、直感的にわかるので、修正作業もすぐにできます。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
僕らは、これからもデザイナーへの教育と仕事の増加、さらにその先の労働環境の改善を目指していきます。その実現のための新たなプロダクトを生み出していきたいと考えています。
また、クリエイターズマッチは、全国のクリエイターのデータベースでもあるため、それを活用して「クリエイターの評価制度」をつくろうとしています。その実現のために昨年、セールスフォースの「Salesforce Marketing Cloud」と連携しました。例えば、「化粧品の広告で一番効果を出しているデザイナーは、どこにいる誰」といった成果がわかる世界を目指していきます。
将来は、このプラットフォームを海外にも展開して、世界中のクリエイターを幸せにしたいと思っています。