成長企業から考える「マーケターの定義」 #04

マーケティングは、スキルや体力よりも「心のもちよう」が大事と考える理由

ホスピタリティにつながる「想像力」を鍛える一番の方法

 マーケティングとは、相手にどう思われるのか?というところを起点に物ごとを発想するものです。人の心と行動を変えるためには、相手の立場に立つ必要があります。自分の中で作った価値を目の前の人との最大公約数を見つけて新たな価値を創る。そしてその価値を自社チームの価値に昇華させ、協業会社との価値にして世の中の価値にしていく。そのプロセスこそがマーケティングです。

 これを実施していく際には、数多くのステークホルダーを動かしていかなければならず、それぞれの利害を一致させながら物ごとを進めていくには、ものすごく強いホスピタリティが必要となります。

 当然、ホスピタリティを効力のある形で発揮するには想像力も必要ですが、その想像力を鍛える一番の方法は、動かしたい相手に対してホスピタリティを持って接することだと思うのです。

 幸いなことに、僕自身はキャリアをサービス業である広告代理店でスタートしたので、クライアントに対するホスピタリティが自然と身についたと(僕自身は勝手に)思っています。

 具体的にホスピタリティを提供するクライアントのような対象がいる方が、生活者にホスピタリティを提供するというマインドを持つよりも感覚がつかみやすいと思います。なので、事業会社からキャリアをスタートした方は、先輩や周囲の仲間のために自分に何が提供できるのか、という観点でホスピタリティを磨いていくことが重要なんだと思います。


 

「あれ俺詐欺」が現れるのは、いいこと?悪いこと?

 ここでもう一つ、自分たちが創る価値を大きくしていくためのヒントになるので、こちらに話題にも触れておこうと思います。「あれ俺詐欺」という言葉が広告業界にあります。数多くの人が携わる広告コミュニケーションにおいて、いいキャンペーンを実施した際に、「あのキャンペーンは俺がやったんだ」という人が数十人現れる、みたいなことです。

 これは、割とネガティブな意味で使われることが多いのですが、僕自身は自分が責任者として実施しているキャンペーンに関して、「あれは俺がやったんだ」と言ってくれる人ができるだけ多くなるように意識して様々な協力者に対して接していますし、業務を設計するようにしています。

 それは、僕らのプロダクトのキャンペーンを自分の施策として実施してくれる人が多いことが、キャンペーンの成功につながりますし、我々の仲間が沢山いるということは単純に嬉しいことだからです。

 このように、ホスピタリティを持ち、仲間を沢山作っていくプロセスがとても大切で、その大きな目的のためには喜んで「あれは俺が自分でやったんだ」という我を捨てることが、マーケターとしての「心のもちよう」として重要だと思うのです。

 いずれにしろ、マーケターとしての「心のもちよう」は、一番重要でありながら一番学ぶのが難しい領域の話なので、先輩方と意見を交換しながら実務経験を積み、徐々に深くなっていくものなのだと思います。僕もまだまだ修行が必要です。

 さて、もう少し書こうとも思ったのですが、今日は僕の誕生日ということもあり、この辺にしておこうと思います。何かを伝えたいという思いが自分の中から出てくる状況が枯れるまでは、また書こうと思います。それでは、また。

他の連載記事:
成長企業から考える「マーケターの定義」 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録