キャラクタービジネス最前線!サンリオの改革を追う #02

サンリオピューロランド、過去最高の来場者数の背景には「お母さん型リーダーシップ」があった

前回の記事:
ハローキティ45周年。激動のキャラクター市場を生き抜く、サンリオのマーケティング戦略
 サンリオピューロランドの来場者数が伸びている。2014年度に126万人まで落ちていた来場者は、2018年度には過去最高の219万人を記録した。

 その立役者として注目を集めているのが、2014年に顧問に就任し、2016年から館長を務める小巻亜矢氏だ。どのようにサンリオピューロランドを復活に導いたのか、小巻館長に話を聞いた。
 

徹底的にスタッフと対話して「感情」を聞く


——小巻さんがサンリオピューロランドの顧問に就任したタイミングは、来場者数が落ち込んでいた2014年です。当時は、どのような状況だったのでしょうか。

 そうですね。やはり全ての要素が負のスパイラルに陥っていまいした。グッズやフードメニューはじめ、さまざまな点に課題を抱え、売上が低迷していたこともあって、全体としての雰囲気も良くない状況でした。

 サンリオピューロランドは、ライブエンターテインメントのテーマパークです。宝塚歌劇団の演出家である小池修一郎さんに演出してもらうなど、実際は高いクオリティを提供していたにも関わらず、来場したことがない人からは、キャラクターが館内を歩いているだけの施設のように思われるなど、プロモーションの面でも課題を抱えていました。
 
サンリオエンターテイメント 取締役 CDO サンリオピューロランド館長 小巻亜矢氏
——そうした中で、どのように改革を進めていかれたのでしょうか。

 まずお伝えしたいのが、いろんな場で私を「サンリオピューロランド復活の立役者」としてご紹介いただいていますが、決して私の功績ではないということです。

 私が着任したときから、ピューロランドで働くスタッフ全員がモチベーションを高く持ち、何が良くないのかを認識していて、どうすれば良くなるかを考えていました。実際に来場者数が伸びたのは、スタッフみんなの頑張りのお陰です。

——とはいえ、長く低迷していたのには、理由があるはずです。その良くない状況に対して、小巻さんはどのように行動したのでしょうか。

 私が大事にしたことは、徹底的にスタッフと対話して、声を聞くことでした。どんな対話かと言うと、決して「ダメ出し」ではなく、その人たちの中にある「感情」を聞くことです。

 スタッフの中には、来場者数の低迷から「ピューロランドは、全然ダメだ」と言う人もいました。それを文字として書き起こすだけだと、その人はピューロランドに対して全く期待していないということになります。でも、感情を聞くと、実は全く逆で「とても期待している」という気持ちの裏返しなのです。

 人は「変われ」と言っても、変わるわけではありません。丁寧に話を聞きながら、お互いに承認し合える組織をつくり、対話をコツコツしていくことで社内のコミュニケーションを活発にしていけば、多くの課題は解決していくと確信していました。
 
サンリオピューロランド館内。

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