キャラクタービジネス最前線!サンリオの改革を追う #02

サンリオピューロランド、過去最高の来場者数の背景には「お母さん型リーダーシップ」があった

お母さんの持つ「柔軟さ」と「寛容さ」が大事

——小巻さんが、コミュニケーションを活発にしていくことが鍵だと思うようになった背景は?

 私はサンリオピューロランドで働く前に、女性支援や人材育成の企業研修のビジネスをしていました。その中でいろんな組織を見てきましたが、働く人たちが何を思っているのか、どう頑張りたいと思っているのかをきちんと把握しないと、どんなツールや施策も取り入れても上手くいかないということを経験として分かっていたのです。

 私はテーマパークのプロフェッショナルではありません。なので、できることは、組織を元気にしていくことだけです。スタッフみんなの持つ経験という花を咲かせたいという一心で取り組んでいました。



——その中で、小巻さんが工夫していたことは、ありますか。

 そうですね、「改革」という言葉を絶対に使わないようにしたことでしょうか。カルチャー改革やデジタルイノベーションを掲げている組織をみますが、「改革するぞ」と言われると、まずは現状否定のインパクトがあり、 旗を振っても誰も来ない、ということがよくありますよね。   

 そうではなくて、「何か皆さんのお役に立つことは、ないですか」「ちょっと実験してみようよ」というぐらいで進めることが大事だと思っています。

 3歩進んで、2歩下がるというスピード感かもしれませんが、そうする中で徐々に組織の“色”が変わってきたと思っています。

——それは「支配型のリーダーシップ」ではなく「サーヴァント型(支援型)のリーダーシップ」ということでしょうか。

 そうですね。サーヴァント・リーダーシップと言い換えることもできるのですが、私はあえて「お母さん型リーダーシップ」と言っています。

 私は性格がけっこう男っぽいのですが、お母さんが持つ「柔軟さ」や待つことに対する「寛容さ」がとても大事だと思うのです。

 お母さんは、子どもが靴ひもを結べなくて苦労していても、いまは私がしない方がいいと、心を鬼にして待ったりしますよね。また、頭ごなしに「ダメ!」と怒るのではなく、「やってくれたら嬉しいな」というコミュニケーションをとったりもします。

 こう言ったら失礼かもしれませんが、私も社員に対して同じように接してきました。なるべく話しかける、表情を見る、後ろ姿をみる、そんなことの繰り返しからやってきたように思います。

——「お母さん型リーダーシップ」というネーミングが素晴らしいですね。

 ありがとうございます。2014年にサンリオピューロランドに来たばかりの頃、全スタッフの前で「私は、みんなのお母さんになる!」と宣言しました。

 聞いていたみんなは、ポカーンとして「この人、大丈夫かな?」という顔をしていましたが(笑)。

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