成果を出すコンテンツマーケティング虎の巻

auの企画メーカーが語る、モノゴトを多面的に見るための「3つの考え方」

auのユニークな企画は、どのように生まれたのか?


 はじめまして、KDDIの西原です。これまでも少しだけ社外でお話させていただく機会はありましたが、寄稿は初体験で緊張しています。分かりにくい部分もあるかと思いますがご容赦ください。ただ、私は「三太郎の仕掛け人」ではありませんので、そこをご期待いただいて読み始めた方は、すみません!

 この変化の激しいコミュニケーション業界の中で、みなさまの業務に少しでもお役に立てられたら嬉しいです。

西原由哲氏
KDDI 宣伝部ブランドプロモーショングループ グループリーダー
1997年、DDI(現KDDI)に入社後、コンシューマ事業の販促・営業や経営管理、宣伝/広報領域でのコミュニケーションプランニングや広告制作、PR業務など幅広く経験。現在はデジタルやリアルでのブランドコンテンツ企画や、コンテンツマーケティング視点でのオウンドメディア「TIME&SPACE」の企画・運営など手法ニュートラルでの企画を通じ、KDDI/auのブランディングプロモーションを担当。

 私は現在、KDDIやauのブランドプロモーションを目的にリアルやデジタルでのコンテンツ企画やオウンドメディア運営を行っています。

 例えば、電源が入らなくなった昔のケータイを思い出と共に復活させる「おもいでケータイ再起動」、ショルダーフォンから最新スマホまで750機種以上をデジタルコンテンツ化した「auケータイ図鑑」、ケータイを変形ロボットにした「au × TRANSFORMERS PROJECT」、ちょっとユルメのものではauライフデザイン活動をPRした「au版人生ゲーム」や「スキマファミリー」なども。オウンドメディアではコンテンツマーケティング発想で「TIME&SPACE」というWebサイトを運営しています。各企画の切っ掛けや企業活動における役割や目的などは、次回以降で詳しくご紹介したいと思います。
 
auケータイ図鑑
au ×TRANSFORMERS PROJECT
au版人生ゲーム
スキマファミリー
 
 連載1回目は、私なりの企画やコンテンツのつくり方や考え方など、具体的な事例を使ってお話できればと思います。モノやコトを一方向ではなくいろんな角度で見てみると、また違った景色や意外な発見があるもので、企画する上でのヒントとなることが多いと実感しています。
 

①「常識」に疑問をもってみる


 これまで、いろんなセクションで「自ら企画し実践することのおもしろさ」を経験させてもらいました。

 私がコンシューマ向けの営業企画をしていた2001年頃は、日本でブロードバンドが浸透し始めた時期でした。一番多かった申込方法は、各プロバイダーがつくる「申込用CD-ROM」で、雑誌やPCへの同梱や量販店での無料配布が多く、契約には「クレジットカードが必須」というのが常識でした。

 私は、CD-ROMの大量配布に反して申込数が頭打ちなのは、クレジットカードを持てない学生やカード番号を打ち込むことが嫌な方が多いのでは、と考えました(各プロバイダー配布の大量のCD-ROMは廃棄されたり、田んぼの鳥避けになっていたり散々でした...)。

 そこで、CD-ROMの巻末に「銀行引落や窓口支払可能な紙の申込書」を付けたところ、潜在的なニーズが顕在化し、とても多くの方にお申し込みいただく結果となりました。また、当時はプロバイダー群雄割拠の時代、販売手数料の多寡で契約数が変わることに疑問を感じ、契約が最も多い時期を調べてみたんです。答えはPC購入時。そこで、担当していた量販店さんで手数料の一部を活用して「PC購入と同時申込でPC○千円引き」といったセット販売を企画しました。結果、これが大きな加入契機となり、いまでは一般的な販売手法となっています。

 これらは営業時代の企画ですが、“困っている人や諦めている人の潜在ニーズがあるのでは?””他にうまいやりかたはないか?”といった疑問から始まったものです。

 冒頭でご紹介した「おもいでケータイ再起動」は、「auケータイ図鑑」を公開した際に、それを見てくれた多くの方が自分の昔のケータイをSNSで投稿しているのを見て、“なぜ今も大事に保管しているのだろうか?”と疑問を持ったことが切っ掛けです。


おもいでケータイ再起動 「母の声を、もういちど」

 また、オウンドメディア「TIME&SPACE」の人気連載記事に「南極の通信を守る社員奮闘記」があります。これは、“何のために14カ月も南極にいるのか”詳しく知らない社員が少なくないことから生まれた企画です。現地での日々を記事にしてみたら、社内外で多く読まれる連載になり、テレビ番組から取り上げたいという相談が来たこともありました。“常識だけど、そもそもなんで?”と立ち止まってみることも大切なのかもしれません。
 
「"南極"が勤務地です!」。南極越冬隊の一員として、昭和基地の通信環境をひとりで守る

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