ほろ酔いマーケティング談義 Tipsy Tips for Marketers #02
デジタルの渇きは、アナログが癒す。若者の孤独感は、世界共通のインサイト
「新しい出会いの場に参加したいけど、不安」は、世界中の若者のインサイト
デジタルテクノロジーの進化の影響を一番受けているのは、もちろん若い世代です。「デジタルネイティブ」という言葉を聞くことはすっかり減りましたが、それはインターネットやデジタルテクノロジーが当たり前に存在する子供時代を過ごした世代が既に普通になった、ということなのでしょう。
彼らは多くの「友だち」とSNSでつながり、一緒にいない時もつながった相手がどんなことをしているか把握していて、頻繁に「いいね!」をしたりコメントを交換したりしています。ところが常につながっている、だから寂しくはないのかというと、実は逆で、さまざまな調査データで世界中において、デジタルテクノロジーに近しい若者世代ほど、孤独感を抱えている人の割合が高い、と言われています。
世界中の若者が抱える共通の不安を言い当てた、FOMO(Fear Of Missing Out=自分が孤立することへの恐怖。「フォーモー」と発音)という言葉が一般語として通用するようになってきているのも、その顕著な例と言えるでしょう。
デジタルネイティブの彼らは、直接集まることやコミュニティに属することを強く望んでいるものの、実体経験が少ないが故にそうした機会を忌避してしまう傾向が強いというのです。
バカルディのイタリアンスパークリングワイン、マルティーニでは、この若者のインサイトに目を付けて、昨年12月に「さあ、マルティーニ、片手に。」というキャンペーンを展開しました。新しい出会いの場に出かけることへの期待感と不安を抱えた若者に「大丈夫、マルティーニ片手に思いきって出かけよう」と背中を押すメッセージをコミュニケーションの中心に据えたのです。
テレビCMは北海道や東海北陸などの限られた地域でしかオンエアしていないので初めて見る、という方も多いかと思いますが、キャンペーンへの反響は上々で、今後もこのメッセージを継続して訴求していく予定です。
そして実はマルティーニは日本だけではなく、世界でも「直接、人と人がコミュニケーションするシーンに存在するブランド」というメッセージを発していこうとしています。何故なら、デジタルテクノロジーの進化は世界共通であり、それに伴い、人と直接触れあうコミュニケーションの価値が上がっているのもまた世界共通だからです。
特にマルティーニの母国であるイタリアを中心にしたヨーロッパでは、イタリアの文化の一つである「アペリティーボ」と呼ばれる、ディナー前の夕方に、人々が集まり軽い食事とお酒とおしゃべりを楽しむ時間を、もう一度盛り上げよう、というキャンペーンを展開しています。
人と人が直接触れ合いコミュニケーションする機会をもっとセレブレイトしよう、という動きは、デジタル化が浸透した今日の世界における共通のテーマのようです。