TOP PLAYER INTERVIEW #09
ケンタッキーが客数減から復活。業績を上向かせた「デュアルカレンダー戦略」
2017年10月以降、売上が9カ月連続で前年割れだったケンタッキーフライドチキン(KFC)が昨年7月から一転、売上を伸ばしている。今年2月には対前年比の売上高が114.7%、客数が116.7%と昨年7月以降で最も大きな伸びを見せた。
業績が上向きつつある背景には、2018年4月にKFCブランドを保有するヤム・ブランズから同社に着任したCMO(チーフ・マーケティングオフィサー)の中嶋祐子氏の働きがある。復活への道筋となる施策をどのように展開していったのか、中嶋氏に詳しく話を聞いた。
業績が上向きつつある背景には、2018年4月にKFCブランドを保有するヤム・ブランズから同社に着任したCMO(チーフ・マーケティングオフィサー)の中嶋祐子氏の働きがある。復活への道筋となる施策をどのように展開していったのか、中嶋氏に詳しく話を聞いた。
客数を伸ばすための戦略をどう組み立てた?
日本ケンタッキー・フライド・チキン
CMO 中嶋祐子氏
前職、KFC Restaurants Asia Pte. Ltd.で日本を中心としたアジアマーケットのブランドマネジメントを行った経験をもとに、2018年4月より現職。
CMO 中嶋祐子氏
前職、KFC Restaurants Asia Pte. Ltd.で日本を中心としたアジアマーケットのブランドマネジメントを行った経験をもとに、2018年4月より現職。
——昨年4月の着任当初、日本市場におけるケンタッキーフライドチキン(KFC)には、どのような課題があると考えていましたか。
やはり一番の課題は、店舗の客数が伸び悩んでいたことでした。多く人が来店することで、ビジネスが回っていくことがとても大事ですよね。
——客数が伸び悩んでいた背景には、コンビニエンスストアでチキンが提供されるようになるなど、市場環境の変化が大きいのでしょうか。
もちろん、コンビニエンスストアの数が増えたという理由もあるでしょう。ただ、それよりも日本のKFCはクリスマスなどのスペシャルな機会に食べられる傾向が強く、ランチや個食など日常で食べてもらうイメージがあまり持たれていないという面も大きいと思います。
計算したところ、クリスマスだけ購入するようなライトユーザーがもう1回利用するだけで、全体の客数が数%も上がることがわかりました。なので、とにかくもう1回食べてもらいたいと思っていました。自分で自分のブランドを褒めるのもなんですが、美味しいので一度食べると、もう一度食べたくなりますよね。
——具体的には、どのような施策を打たれたのですか。
日常的にKFCを利用する機会をつくっていただけるように、消費者が求めやすいバリューのあるプロモーションを、新商品などのキャンペーンと並行して展開するようにしました。私たちは「デュアルカレンダー」と呼んでいるのですが、スケジュールを上下2段に組んで多くの時期にプロモーションやキャンペーンを並行して走らせるようにしたのです。
まず、「バリュー(お買い得)」として、消費者が求めやすい価格の商品のプロモーションを設定しました。KFCは値段が高くて買いづらいというイメージからランチの候補に入っていないケースも多かったため、来店促進につなげる狙いです。そしてもう一つのキャンペーンには、来店頻度を高めるための「新商品」や「季節のイベント」などのキャンペーンを設定しました。
例えば、今年1月であれば、上段にはランチタイムに500円でセットが購入できる「Sランチ(オリジナルチキン、カーネリングポテト、ビスケット、ドリンク)」を、下段には新商品として唐辛子をピリッと効かせた衣に特製はちみつソースをかけた「辛口ハニーチキン」を同時に展開しました。