成長企業から考える「マーケターの定義」 #05

決められた仕事以外しない傾向が強い外資で、僕が職務要件を越えて働く大事な理由

前回の記事:
マーケティングは、スキルや体力よりも「心のもちよう」が大事と考える理由

チームとして働いてきた結果、今の自分がある


 こんにちは。今回で5回目となるアジェンダノートのコラムですが、今回は「チーム」について書こうと思います。僕の博報堂時代の同期が「マーケティングとは、ファンクションとファンクションを繋げて、機能させるためのファンクションである」ということを、ある記事の中で書いていて、非常に腑に落ちた記憶があります。

 僕がマーケティングの仕事を始めて、この4月で15年目を迎えましたが、僕はずっと、チームの中で育ち、チームの皆に守られ、チームとして新しいことにチャレンジし、その結果として今の自分があると思っています。

 僕は幸運なことに、LINE PayとIndeedで2回、マーケティングチームを1から組成する機会をいただき、自分の理想とするチームを創造することに取り組みました。そして、それ以外にも、広告代理店時代は数多くのプロジェクトチームで働きましたし、パートナー企業も含めて、様々な人たちとチームを組んで動いてきました。

 マーケティングが様々な機能を繋げることを生業としていることを考えると、チームの創り方に関しての知見をシェアすることは、プランニングやソリューションを共有することと同様、非常に重要なのではないかと思います。このテーマも、前回のコラムのテーマである“心の持ちよう”の話と同様に、あまり語られない領域の話だと思うので、こっそりここで取り上げてみようと思います。


 

外資系企業と国内広告代理店のチームの違い


 僕が社会人になって最初に所属されたプロジェクトチームが、当時はストプラ(ストラテジックプランニング)だった博報堂ケトルの木村健太郎さんが中心となって組成した、ソニー担当のチームでした。

 このチームは、博報堂ケトルの前身のようなチームで、今のケトルと同じようなプランニング方針を持ったチームです。つまり、営業もストプラも制作もプロモーションもPRも、全員で全プロセスに関与し、コア課題とコアアイデアと具体的なソリューションを一緒につくり出すようなやり方です。考えて見ると、僕のチームづくりの考え方のベースは、このときに出来たのだと思います。

 僕は今、米国で創業されたIndeedという企業に所属しているので、アメリカの組織づくりの考え方にも触れていますが、彼ら彼女らは基本的には役割を明確にし、マーケティング活動に必要な全ての要素を組織と役割の設計によって満たしていきます。



 Indeedは、僕が知りうる一般的な外資系企業と比較すると周囲のメンバーと協力し合うことを推奨してはいるのですが、基本的なスタンスとしては、自分に与えられたKPIを達成することが評価の基準で、自分以外の人の手助けをすることは評価には直接繋がりません。なので、どこからどこまでが誰の役割で、その役割を果たすことがその人のミッションであるということが、ジョブディスクリプション(職務要件)に明確に定められています。

 例えば、誰かに質問すると、「それは誰々に聞いたら良いですよ」という答えが返ってくることがあっても、その人自ら「代わりに聞いておいてあげますね」というふうには中々ならないのが実状です。つまり、できるだけ自分の職務要件の範囲を定めて周囲にもそのスタンスでコミュニケーションし、その範囲内で最大限のバリューを発揮してパフォーマンスを出す、という発想になります。

 一方、広告代理店出身の僕の発想は真逆です。仕事を受ける窓口機能を最大化していくことこそが自身の仕事を拡げていくことになり、キャリアを形成していくことになる、という考え方です。

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