成長企業から考える「マーケターの定義」 #05

決められた仕事以外しない傾向が強い外資で、僕が職務要件を越えて働く大事な理由

僕はなぜ「ジョブディスクリプションを超えていけ」と伝えたのか


 広告代理店の、特に営業は、クライアント担当者にとっての一番の相談窓口となることが非常に重要で、自社内であっても、直接クライアントからスタッフに相談が入ることすら嫌がる人もいるくらいです。自分に仕事を頼みたい人の数が増えると、自分だけでは仕事を受けきれなくなる。でも、仕事はたくさん舞い込んでくる。組織はそういう人にこそ、アシスタントや部下を与えて、それこそチームをつくることを促します。もしくはお金を与えて、外注することを推奨します。組織の中でより影響力を持って仕事をするには、こういったステップを踏んでいくことが必要です。

 ちなみに、少しだけIndeed社内のことを共有すると、僕がIndeedで示した最初のチーム方針は、「ジョブディスクリプション(職務要件)を越えていけ」でした。これは、縦型のグローバルのマーケティングチームに対して、日本では統合型のチームをつくるという宣言でもありました。

 さて、僕が理想とするチームのあり方がなんとなく伝わったかと思うのですが、なぜそのようなスタンスのチームが良いと考えているかと言えば、このような考え方で組み上げたチームがビッグアイデアを生み出しやすいからです。



 そもそもアイデアとは、既存のアイデアと既存のアイデアの組み合わせで生まれます。そして、そのアイデアは、いろんな視点から膨らませていくことで、より大きくなります。個人の中で企画をつくる際でも、チームでブレストして大きくしていく際にも、アイデアとアイデアを組み合わせて形をつくり、そのアイデアを様々な視点から膨らませていくというプロセスは共通です。

 ちなみに、ブレインストーミングをうまく機能させるには、メンバーの脳みそが、パソコンをネットワーク化するかのように繋がっていることが重要です。僕自身も、実は本当の意味でメンバーの脳みそが同じ状態でつながっていて、理想のブレーンストーミングができた体験は数えるほどしかありませんが、そういったブレストができた時は、非常に高揚感があります。皆さんも是非一度、そういった体験をしてもらえれば、この感覚がわかってもらえると思います。

 話を戻すと、アイデアをいろんな視点で膨らませていくプロセスというのが、チームで取り組む意味が大きい点です。一人の人間の視点は限られているので、戦略の視点、クリエイティブの視点、PR(メディア)の視点、プロモーションの視点、CSRの視点、ユーザーインサイトの視点など、さまざまな視点でそのアイデアを見つめた時、一つの施策がいくつもの効果を生み出す、ビッグアイデアに育っていくのです。言い方を変えると、一つの施策でいくつかのKPIを達成するアイデアが実現できます。

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