よなよな流「ファンベース・ブランディング」―ファンの熱狂をブランドの力に変える方法 #01
熱狂的ファンを味方に!よなよなエールも実践する「ファンベース」
2018/05/21
私が20年以上Macを愛用し続けている、たったひとつの理由
学生時代のことです。世間がWindows95の発売に沸き立っているころ、私は最初のPCとしてMac(Macintosh)を買いました。使いやすかったから?それとも、人と違うものが欲しかったから?それもあるかもしれませんが、一番の理由は、Macファンの先輩がいたからです。
彼は私を自宅に招き入れては、Macの筐体デザインの美しさや、独自のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の良さ、さらには、スティーブ・ジョブズという人がどのような経緯でMacをつくり出し、そしてアップルをクビになったかに至るまで、事細かに解説してくれたものです。
そんな強力な推奨活動により、以来20年以上、Macを購入し続けています(残念ながら会社から支給されているPCはWindowsなのですが)。
今、あらゆるブランドが目指すべき「アドボケイト(推奨)」
時は流れて2012年。ヤッホーブルーイングに入社して、私が目の当たりにしたのは、「よなよなエール」などヤッホーブルーイングのビールについて熱く語るファンの姿でした。このときまで私は、アップルのような、何か特別にイノベーティブなブランドでなければ、いわゆる「熱いファン」はあまりいないのではないか?と思い込んでいましたが、ビールのような、いわゆる「低関与」な商品カテゴリにおいても熱狂的なファンがいることに気がついたのです。
私にMacを薦めてくれたあの先輩のような熱心なファンは、マーケティングの世界では「ブランド・アドボケイツ」と呼ばれ、近年、注目を集めています。
フィリップ・コトラーらが2017年に上梓した『コトラーのマーケティング4.0~スマートフォン時代の究極法則』でも、アドボケイト(推奨)はデジタル時代の新しいカスタマージャーニーモデル(5A=Aware(認知)、Appeal(訴求)、Ask(調査)、Act(行動)、Advocate(推奨)の頭文字を取ったもの)の最終段階として定義され、あらゆるブランドが目指すべきものとされるようになりました。
強力なアドボケイツは、「エバンジェリスト」「熱狂的なファン」と呼ばれることもありますが、このコラムでは「そのブランドを周囲の人にオススメしてしまうほど熱い想いを持っているファン」と定義します。