よなよな流「ファンベース・ブランディング」―ファンの熱狂をブランドの力に変える方法 #01

熱狂的ファンを味方に!よなよなエールも実践する「ファンベース」

「ファンベース」時代のブランディングを考える

 さて、アドボケイツ=熱狂的なファンの力を最大化し活用するマーケティング手法を「ファンベース」あるいは「ファンベース・マーケティング」と言います。

 このファンベースを提唱する佐藤尚之氏は、「ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や価値を上げていく考え方」としています。つまり、ファンに買っていただくだけでなく、ファンを介してそれ以外の人にも買っていただき、中長期的にファンを広げていくイメージです。ヤッホーブルーイングも、同様の考え方を持っています。

 しかし、ブランディングという観点では、いくつかの疑問点が出てきます。

 ファンを介して、ブランドのメッセージやイメージをしっかり伝えることができるのか?ファンをブランドにどこまで関与させるべきか?
そもそも熱狂的なファンは、ブランドイメージにどんな影響を与えるのか?

 など、かつての統制されたブランド・コミュニケーション手法では想定されなかった課題が生まれているのも事実だと思います。しかし、ファンベースは現代の状況に合ったやり方であり、非常に人間的で、あたたかく、夢のある手法です。旧態依然としたやり方に後戻りはできないでしょう。

 ファンベース時代にブランディングはどうあるべきか。ファンベースとブランディングをどのように統合していくか。この連載では、それを考えていきたいと思います。
 

<参考文献>
井手直行「ぷしゅ よなよなエールがお世話になります―くだらないけど面白い戦略で社員もファンもチームになった話」 東洋経済新報社 2016年
佐藤尚之「ファンベース-支持され、愛され、長く売れ続けるために」 ちくま新書 2018年
藤崎実,徳力基彦「顧客視点の企業戦略 アンバサダープログラム的思考」 宣伝会議 2017年
フィリップ・コトラー,ヘルマワン・カルタジャヤ,イワン・セティアワン(恩蔵直人監訳・藤井清美 訳)「コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則」 朝日新聞出版 2017年
ロブ・フュジェッタ(土方奈美 訳・藤崎実 監修・徳力基彦 解説)「アンバサダーマーケティング 熱きファンを戦力に変える新戦略」 日経BP社 2013年
「復活の「ペヤング」、カップ焼きそばのシェア首位に急浮上」日経トレンディ 2015年7月7日 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20150702/1065468/?rt=nocnt

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