TOP PLAYER INTERVIEW #14
「エンジェル投資は止める、ビットコインと再生医療で未来に挑む」日広(現 GMO NIKKO)創業者・加藤順彦
エンジェル投資を止め、家業で広く世界に出たい
加藤順彦 1967年 東京都生まれ。小学校2年生から大阪で育つ。1986年 関西学院大学入学。その後、学生企業のリョーマに参画。1989年 ダイヤルキューネットワークに参画。1992年 広告会社の日広(現GMO NIKKO)を創業。2008年 日広をGMOインターネットに譲渡し、シンガポールに移住。著書に『講演録 若者よ、アジアのウミガメとなれ』(ゴマブックス)など。
シンガポールに移住してから12年となる2020年6月で、現在のライフスタイルを変えることを決めています。
一昨年、弟が亡くなり、私が家業を継いだこともあって、来年以降は日本で年間の4割を過ごし、残りの6割はシンガポールとクアラルンプールを軸に「LENS MODE」の北米拠点があるバンクーバーのほか、ウランバートル、ヤンゴン、ハワイなど世界をより広く転々としようと考えています。
それから2018年末で、エンジェル投資を止めました。その理由は、若者が起業する新領域にエンジェル投資家としてついていけてないという世代的な限界を感じたからです。例えば、ビットバンクの社員の5割は30歳未満で、私にとっては子どもでもいいほどの年齢です。
また、年齢が離れすぎていると、共感されにくいとも思うのです。10年前と違い、今は彼らのお兄さん・お姉さん世代のシリアルアントレプレナーが出てきています。そうした若い世代がエンジェル投資家になるべきだと考えているので、私自身はもう卒業です。
クリプトカレンシーの本命は、ビットコイン
今、最も注目しているのは、クリプトカレンシー(暗号資産・暗号通貨)、とりわけビットコインです。現在、売買されているクリプトカレンシーは500以上あるのですが、なかでもビットコインほど、流動性があって投資家の数が多く、価値が担保されている仮想通貨はありません。
個人としてはビットコインが面白いと思っています。ビットコインには、他の500を超えるクリプトカレンシーが束になっても敵わないほどの深いロマンがあるんです。ものすごい可能性がまだあるんです。
最近は、ブロックチェーンが注目されています。しかし私は、ブロックチェーンはクリプトカレンシーというイノベーションの要素技術であると思っています。それゆえ、ブロックチェーンのみを切り出そうとすることに違和感を覚えます。
ユニークなのはクリプトカレンシー、とりわけビットコインであって、その技術であるブロックチェーンだけを取り上げて注目するのは、陳腐に感じます。「あなたがブロックチェーンでできる」と言っていることは、実はエクセルやアクセスでできませんかと言いたい(笑)。