ほろ酔いマーケティング談義 Tipsy Tips for Marketers #03

ハイボール生みの親、トミー・デュワー 脅威の発想力「21世紀の広告手法を19世紀に展開」

前回の記事:
デジタルの渇きは、アナログが癒す。若者の孤独感は、世界共通のインサイト

型破りな手法は現代のマーケティングに通ずる

 
トミー・デュワー氏(1864~1930)

 トミー・デュワーという人物のことを知っている方は、日本のマーケティング業界の中にあまりいないのではないかと思います。私も今のバカルディ社での仕事に就くまでは知りませんでした。

 しかし知れば知るほど、実にユニークな人物で、デジタル全盛の21世紀において実行されている広告の手法を19世紀に次々と展開していた「アドマン」であり、多くの名言を残し、当時のベストセラーの著者でもありました。

 ぜひこの機会にトミー・デュワーのことを、読者の皆さんにも知っていただきたいと思います。それでは始めましょう。
 

自転車で広告メッセージを展開するアイデアで特許を取得


 スコッチウイスキー「デュワーズ」を創業した父、ジョン・デュワーが亡くなった1880年当時、デュワーズ社の資産価値はおよそ1万ポンドだったそうです。それをわずか17年後の1897年には、62万5千ポンドという実に60倍以上にまで会社の価値を成長させることに、トミー・デュワーは成功しました。

 トミーは日頃から「広告をしない会社はやがて恐竜のように滅びる」と言っていたくらい、広告やマーケティングが大好きな人物であり、父が創業したスコットランドの小さなウイスキーメーカーが世界的なブランドへと躍進した裏にも彼が仕掛けた数々のマーケティング活動がありました。

 1885年、21歳の青年トミー・デュワーが地元スコットランドを離れてロンドンに向かった時、頼りの綱は懐に入れた2通の紹介状でした。しかし、ロンドンに到着して判明したのは、紹介先の一人目は既に亡くなっており、二人目もビジネスに失敗し破産していた、ということ。

 当初の目論見は崩れましたが、大都会ロンドンで家業のウイスキー「デュワーズ」を拡販する日々をトミーは送ります。そんな彼が取得した特許が今も記録に残っています。それは、自転車や馬車の車輪に逆さ文字で広告メッセージを刻印し、走った後のわだちにそれが残る、という広告のための装置です。



 まだまだ舗装されていない土の道が多かった当時のイギリスで、自分たちの商品を多くの人に認知してもらうためにトミーは広告のための装置を発明したのでした。この媒体料金のかからないゲリラマーケティング的手法を自らあみだす起業家マインドセットは、現代のマーケターにとっても見習うべきものでしょう。

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