ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #番外編

アジャイルメディア・ネットワーク 徳力基彦が語る。取締役を退任する心境と、これまで

 6月末をもってアジャイルメディア・ネットワークの取締役から退任することを発表した徳力基彦氏。自らのブログ「このたびアジャイルメディア・ネットワークの取締役を退任し、アンバサダー/ブロガーとして再雇用してもらうことにしました。」では、退任する背景や経緯、その時々の心情を率直に語り、大きな反響を呼んだ。今回のインタビューでは、その徳力氏から前編で「現在の心境」について、後編で「今後のビジョン」について話してもらった(第1回/全2回)。
 

“もやもや”していたものが、なくなった


——5月14日に公開したブログでは、その時々の心境を赤裸々に語られ、どこか“スッキリされている”という印象を受けました。

 どうでしょう。まだ7月以降の自分のワークスタイルがはっきりと固まっているわけではないので、不安もあり、楽しみな面もありつつという感じでしょうか。それに退任するとはいえ、週3日はアジャイルメディアネットワークの仕事をそのまま継続する予定なので、劇的に変わるわけではないかなと思っています。

 スッキリしたという意味で言うと、5年前に社長を降りてからずっと矛盾みたいなものを抱えていたところはあったと思います。社長でなくなってから何年も経つのに、いまだに「社長だと思っていた」と言われることがあったり、取締役の肩書きを持っていても最近の実態としては、そこまで経営レベルの議論に参加しているわけではなかったりしましたし。

 一方で、社長を降りたあと、いろんな人から辞めると思われて「次に何をやるんですか」「まだいるんだ」とか言われたり、というのも多かったんですよね(笑)。
徳力 基彦氏
アジャイルメディア・ネットワーク 取締役CMO/ブロガー
NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より現職。2019年6月末で取締役を退任、7月からは同社 アンバサダー/ブロガーに就任。

——それは、けっこう辛いですね。

「まだ社長だと思っていた」から「すぐ辞める前提で降りたんでしょ」まで、かなりの振り幅ですよね(笑)。

 その狭間で、なんとなく、そのまま来ちゃった感じがあるのが、今回、社長を降りた際の経緯も含めてカミングアウトできたので、もやもやしていたものがなくなったというのは、ちょっとあるかもしれませんね。

——今後も週3日間、アジャイルメディア・ネットワークで働かれるということで、あまり“区切り”という感じはないですか?

 はい、自分の中では、そう大きく変わるわけではないです。私がアジャイルメディア・ネットワークでコミットしているアンバサダープログラムの啓発活動も、個人的にはまだ道半ばだと思っています。

 アンバサダープログラム的な活動は、どの企業にとっても絶対に意味があると思っていますが、いわゆるマスマーケティングやデジタルマーケティングには、どうしても量の効果測定という数値面から、優先順位で負けてしまうことが多いのが現実です。そうした投資対効果の証明はじめ、まだまだ、やり切った感じはないんですよ。

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