成果を出すコンテンツマーケティング虎の巻 #02

PV 450倍、自然流入5000倍。KDDIのオウンドメディアは、どのように読まれるようになったのか

ネタは意外と、社内にあるもの


 ② 社内でネタ発掘

 次に記事ネタ自体の話ですが、実は社内からたくさん発掘しています。陥りやすいのは、「NEWじゃないと記事にできない」という先入観です。プレスリリースではないので、古くてもコンテンツ力があれば成り立ちます。生活者のニーズや気になることを社内アセットで解決できると、それは立派なコンテンツになります。

 例えば、時速280kmの新幹線でも携帯電話がつながる仕組みを模型で社員が解説したり、スマートフォンの電池持ちが長くなる充電の仕方を同じく社員が解説してみたり。
 
新幹線でも携帯電話がつながる仕組みを解説

 また、社内では既知のことも社外では新鮮であったりもするものです。当社では毎年「南極観測隊募集!」という社内連絡が出ます。これは政府から依頼を受けて南極にある昭和基地の通信環境の保守を担うもので、1年2カ月ずっと一人で通信を守ります。私自身、この活動には社会的意義を強く感じ、もっと広く知ってもらいたいので連載化したところ、社内外から大反響で記事がきっかけとなり、テレビ番組にも取り上げていただきました。
 
南極での通信保守を担う社員奮闘記

 他にも、災害時に奔走したり、豪雪地で雪かきして基地局を建てる社員の姿などを密着レポートしたりと、普段なかなか表に出にくい社員の姿を記事コンテンツにしています。イメージは、テレビのドキュメント番組です。そのような記事は「ゲンバダマシイ」という骨太なシリーズにして今も続けており、毎回多くの方に読んでいただいています。

 「NEW」な話題ではないので、プレスリリースは出せませんが、オウンドメディアでは読み物という形で発信できます。そして何より、意外とネタは社内にあるものです。社内では普段は意識せずにスルーしたり、当たり前に感じていることも生活者視点で見てみると意外と良いコンテンツに成り得るのです。

 記事コンテンツは、あくまでコミュニケーションのひとつの手法に過ぎませんが、生活者により興味をもってもらえる切り口で企業姿勢を伝えることができれば、それはブランドリフトにもつながりますし、企業の個性として他社と差異化ができるようになると思います。

 このような記事以外にも、TIME&SPACEでは定期的に「コンテンツ企画」を発信しています。記事というアウトプットではなく、一般的なオウンドメディアの枠から少しはみ出た活動ですが、少しずつ企業課題の解決につながりつつあります。

 次回はこの3つ目の取り組み「③コンテンツ企画」についてお話したいと思います。
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