TOP PLAYER INTERVIEW #16

「ネット広告を“好かれ者”に」ヤフー ECDに中村洋基氏が就任。井上大輔氏と強力タッグ結成

もし「クリエイティブ大臣」になれたら何をしますか?


井上  せっかく中村さんと話をしているので、いろいろと聞きたいのですが、もし中村さんが日本の行政のクリエイティビティを爆発させる任務を負った「クリエイティブ大臣」になったとしたら、何をしますか。

中村  そうですね…。クリエイティブというよりUI/UXの話ですが、海外に行くと、「これでいいじゃん」と思うことが多いですよね。そういうものを日本に増やしていきたいです。

例えばシンガポールでは、公共駐車場の料金支払いは「Parking」というアプリを使えるんですが、デポジットして減っていくだけ。「これでいいじゃん!」って思いませんか。なんで1時間ごとにメーターに300円払わないと、おじさんたちにステッカー貼られるのか、という。

あとは、これ言っていいのかわかりませんが、「UberX」はやはり衝撃でした。台湾で使ったんですが、安い、キレイ、すぐ呼べる、目的地を口頭で伝えなくてよい、ビンロウくさくない。ニーハオとシェイシェイだけで、はい目的地。これでいいじゃん!(笑)。

そうした「これでいいじゃん」を、広告というみんなが日常的に触れるもので実現したいですね。



井上  「これでいいじゃん」とならないのは、「それではダメなのである」という規制の問題ですよね。広告の世界でも「これでいいじゃん」に対する、「それではダメなのである」があるのだと思います。現在の広告制作においてクリエイティブを阻害している一番の要因は何だと思いますか。  

中村  すぐに思い浮かぶのは、過剰な考査ですよね。とくにスタートアップ企業が新たにテレビCMをしようとすると、かなり厳しいです。仮想通貨関連などは、かなりやばいです。表現すべてが禁止事項と言われて、もう焚き火の映像を15秒流したほうがいいんじゃないかと思ったりします。

「CM上の演出です」「イメージです」という全く視認性がない文字を右下に入れたり。クレーム回避の理屈はわかりますが、本質的ではないなと思います。

井上  ただ、テレビの番組の間に30秒、15秒というテレビCMを入れるという広告フォーマットは秀逸ですよね。生まれてから何十年も時間が経っても、効果を提供し続けています。

一方で、インターネット広告では6秒の動画広告が出てきています。テレビCMも6秒があってもいいと思いますが、新しいフォーマットは生まれていません。

中村  6秒のテレビCM、いいですね。あと、時間軸ではなくて、テレビ画面の面積1/30を使える、みたいなフォーマットもありえるかなと。

井上  先日の映画『君の名は。』のテレビ放映でスポンサーロゴを入れ替える広告が話題になりましたが、準備に半年も掛かったそうです。それを考えると伝統的な広告フォーマットを変えるのは、本当に大変です。

伝統的な広告フォーマットで言えば、8月に神田明神納涼祭りの提灯をバスキュールさんと広告商品化します。提灯はテキスト広告なので、ヤフーの運用型広告の仕組みを使います。  

中村  すごい!チョウチン・ディスプレイ・ネットワーク。「CDN」(笑)。



井上  ただ、こうした取り組みは、どうしてもワンショットの企画で終わってしまいます。それを今回の中村さんとの取り組みを通して、きちんとフォーマット化したいと思っています。

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