ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #05

1987年生まれが本丸? READYFOR 米良はるかCEOに聞く、新世代のコミュニケーション論

前回の記事:
ブロガー 徳力基彦が語る、今後のこと。「会社に依存してしまっている人に、勇気を持ってほしい」
 ミレニアル世代を代表するビジネスパーソンにブロガーの徳力基彦氏がインタビューして、現代のマーケティング担当者が知っておくべき消費者行動やその捉え方を探ります。第3回は、クラウドファンディングサービス「READYFOR(レディフォー)」を展開するREADYFOR 代表取締役CEOの米良はるか氏が登場。米良氏がクラウドファンディングサービスを立ち上げた背景から、企業がミレニアル世代にコミュニケーションをとる際のポイントを考えます。
 

「87世代」のコミュニケーション感覚が本丸!?


徳力  米良さんは、1987年生まれですよね。私の中で 「87(ハチナナ)世代」の経営者がミレニアル世代の代表として話を聞いてみたい本丸なんです(笑)。この世代は、米良さん以外にも、SHOWROOMの前田裕二さん、筑波大学准教授の落合陽一さんなど、新しい感覚のサービスやコミュニケーションで、注目を集めている方が多い印象です。
徳力基彦氏
ピースオブケイク noteプロデューサー/ブロガー
アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー/ブロガー

NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より現職。2019年6月末で取締役を退任、7月から現職。同月、ピースオブケイク noteプロデューサー/ブロガーにも就任。


私の勝手な仮説なのですが、「87世代」は大学生のときに日本におけるソーシャルメディアの走りである「mixi(ミクシィ)」が存在していたので、インターネット上のつながりを自然な感覚で大切にしている人が多い気がします。

私は1972年生まれで、会社に入ってからインターネットが普及した世代のため、インターネットは仕事のツールという意識が強い世代なのですが、少し後に生まれたいわゆる「76(ナナロク)世代」は、大学時代にインターネットを経験していることもあって、インターネットがライフスタイルに入り込んでいましたし、多くの人がサービスをつくる側に回っています。この世代には、ミクシィの笠原健治さん(75年生まれ)、グリーの田中良和さん(77年生まれ)、2ちゃんねるの開設者である西村博之さん(76年生まれ)、メルカリの山田進太郎さん(77年生まれ)などがいますし、78年生まれには、家入一真さんもいるネットの黄金世代でした。

彼らと同じように「87世代」にも、それまでの世代と違う感覚の変化があるのではないかと思っているんです。この世代の感覚は、この連載でこれまで話を聞いてきたバンクの光本勇介さん(1980年生まれ)、アルの古川健介さん(1981年生まれ)とも微妙に違う気がしています。

米良  たしかに80年代初めに生まれた世代とは、少し違う気がします。

徳力  前回、けんすうさんへのインタビューで面白かったのが、大企業はコミュニティをつくろうとしても、企業とお客さまを別の存在だと位置付けてしまうのに対して、真のインターネット企業は、お客さまを仲間として捉えているという話でした。

ただし、私のような昭和世代は、どうしてもお客さまは、おもてなしをする対象という意識が強く、本当の意味で腹落ちできていません。その点、クラウドファンディングは、サービスそのものをユーザーと一緒につくっていくものですよね。

米良  そうですね。お客さまは、仲間だという感覚は分かります。
米良はるか氏
代表取締役CEO(最高経営責任者)

1987年生まれ。2010年慶応義塾大学経済学部卒業、12年同大学院メディアデザイン研究科修了。大学院時代にスタンフォード大学に短期留学し、帰国後11年に日本初・国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を立ち上げ、2014年「READYFOR(レディーフォー)」として株式会社化、代表取締役CEO(最高経営責任者)に就任。

徳力  私は、そうした感覚こそ、現代のマーケティング担当者が顧客とのコミュニケーションで持つべきだと考えています。今日は、米良さんの体験を深掘りすることで、昭和世代にとってのヒントを得たいと思っています。

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