マーケティングで社会課題を解決できるか #05

リクルートで「ふたりの妊活」を考えながら見えてきた、PR活動で大切なこと

Seemとして何を伝えるべきか


 ではSeemとして世の中のためを想って発信できることはなんなのか。それは「ふたりの妊活」を当たり前にしよう、ということだと考えています。

 日本は少子化が急速に進んでいます。出生数は過去最低を毎年更新し続け、2018年の出生数は92.1万人でした。しかしその一方で子どもを授かりたいのに授かれない、不妊に悩むカップルは増え続けており、2016年には18人に1人の赤ちゃんが体外受精によって生まれています。

 この状況の大きな要因は一つが晩婚化です。日本の平均初婚年齢は上昇を続けており、2016年には男性31.1歳、女性29.4歳でした。日本では結婚した後に妊活を始めることが一般的なので、結婚する年齢が上がればその分妊活を開始する年齢も上がります。そして男女ともに年齢が上がるほど妊娠しにくくなるということが明らかになっています。つまり、妊活を始めるタイミングですでに妊娠しにくい状態になっているケースも多くなってしまっているのです。

 さらに妊活は女性から取り組み始めることが多く、男性の積極的な参加は遅れがちです。しかし、不妊に悩むカップルの約半数は男性にも原因があったという調査結果があり、別の調査では男性の10人に1人は精子の動きが良くなかったり、数が少なかったりするということも明らかになっています。男性に原因があるにも関わらず男性の参加が遅れた場合、その間に女性一人で費やした時間が無駄になってしまい、さらに妊娠しにくくなってしまうのです。

 そのため、妊活のはじめから男女で一緒に取り組む「ふたりの妊活」が当たり前になることは、妊活の当事者カップルはもちろん、少子化が進む一方で不妊に悩む人が増えている世の中にとっても有益だと考えています。
 
Seemについて紹介する資料。
 

PRは世の中を良くするためのパートナー


 「ふたりの妊活」を世の中に拡げていくことは一朝一夕にはできません。重要性を理解してもらうためには長い説明が必要になりますし、そもそも妊活というテーマに興味がない人に目を向けてもらう機会はほとんどありません。そこで重要なのがPRなのです。世の中ごととして発信してもらうことで、一人一人の自分ごととして認識してもらうことができます。

 Seemは世の中の課題を解決したいという想いで開発したサービスですが、本当の意味の課題解決は困っている人がSeemを使うことではなく、困ってしまう人が少なくなることです。そしてそれは世の中が正しい情報に目を向け、意識を変えることができれば実現できます。そのために、THE TAMPON BOOKの例からもわかるように、事業者にとってPRとは世の中を良くするためのパートナーのような存在だと思います。
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