伊東塾 in 北海道 特別対談 #01

商圏のニーズにどこまで応えるべきか。 吉野家 サツドラ エリアマーケティング対談

マニュアル化できない作業をする人の価値


伊東 富山さんのお話を聞いて、吉野家の河村社長が全社員に向けたメールマガジンの中で「仕事と作業は、違う」と書いていたのを思い出しました。どうしてもチェーンストアのオペレーションは、マニュアルをつくることで作業の伝達になりがちですが、これが過ちの始まりです。

作業の目的を理解し、それが正しいかを一人ひとりが判断し、最適なものを選ぶのが仕事だと思うのですが、実際にそれを行なってもらうとなると、かなり難しいですよね。

富山 私も啓蒙活動的に同じ話をするようにしています。例えば、レジ作業をそつなく早くやるのはベテランだと誰でもできるし、マニュアルにも書けます。でも、レジに並んでいるお客さまが子連れなのか、怪我をしているのかによってかける言葉や対応は変わっていくべきで、それはマニュアル化できないことです。



伊東 結局のところ、店舗は最大のメディアであり、マーケティングの発信基地です。そこで重要になるのは、壁に貼ってあるポスターではなく、中にいる人です。人がわざわざ足を運んで店にやって来る時代は、20年後にはなくなってしまう可能性があると思います。そんな中で店舗に行く理由は、それぞれのお店にいる人がつくると思うんです。

富山 同感です。私もますます人が重要になる時代がくると思います。作業はテクノロジーでどんどん減らしていく方向になるので、もっと情緒的なところに人の役割がシフトしていくと思うんです。

そこでサツドラでは、人と会話しながら接点になるような「ライフコンシェルジュ構想」を打ち出しています。地方では単独機能の銀行や役所がなくなっているので、複合的なサービスの窓口になるコンシェルジュがいれば、そこに人が来る理由になります。



日本は人口減少と少子高齢化のダブルパンチを受けているので、そこで地域社会を成立させるためには、今までとは違う構図が必要になりますよね。

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