TOP PLAYER INTERVIEW #20

マーケターとしてのレールから離れて、僕は自由になった。『VISION DRIVEN』著者 佐宗邦威

10年あれば、人は変われる

 それで、シカゴのイリノイ工科大へ留学して、ビジネスからデザインまで学ぶコースへ入ったんです。その中でわかってきたのは、自分がどうしたいか、自分だったらどういう風につくるかということを具体的なモノで示せることが「つくり手」として一番重要なポイントだということ。それがない限り、いくら知識があっても戦略があっても、モノはできないということがよくわかりました。

 とはいえ、古き良きソニーみたいな「ものづくりの光」は、会社のほんの一部にしかなかったので、そういうカルチャーを復活させることで、僕の同世代が持つ「つくり手」としての力を生かす環境をつくろうと考えました。結局、新しいモノを産んでいくためには、「つくり手」たちを生かす環境をつくればいいんだ、という結論にたどり着いたわけです。



 その発想をもとに、社内で「新規事業創出プログラム」を立ち上げて、デザインという方法論を使っていろんな新規事業支援をずっとやってきたわけなんです。それを今では、他の日本企業を含めて、様々な分野の会社に提供しています。

 正直、当時の自分からしたら、自分はデザインファームのトップをやっているなんて想像できなかったですし、逆にいうと、10年もあれば人はものすごく変われるんです。

 僕はある種、マーケターとしてのレールからは外れてしまいました。だけどそのレールから降りたからこそ、自分のキャリアを自由につくれる方法はいくらでもあるんだと気づけたんですよね。

 自分のキャリアで得た体験を次の世代がよりクリエイティブになるために生かしていきたいと思っています。

 ―― ありがとうございました。

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