ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #07

反対意見を言う人は敵だ、とは思いたくない。『カメラを止めるな!』上田監督の信念

上田監督が新作映画であえて「批判的な声」も募った理由

徳力 現在、公開中の映画『イソップの思うツボ』では、良い意見だけでなく悪い意見も言ってもらえるように「#イソップ賛否の賛」と「#イソップ賛否の否」という2つのハッシュタグをつくっています。わざわざハッシュタグをつくってまで、否定的な意見を集めてしまう人を初めて見ました(笑)。
 
 

上田 たしかに100館で上映がスタートした規模の映画で、これだけはっきりと否定的な声を促したのは初めてじゃないでしょうか。でも、エゴサーチをすれば、観客の反応はすぐに分かりますし、つくり手側が否定的な意見を包み隠せるような時代はもう終わっていますよね。僕からこの2つのハッシュタグをつくりたいと、配給会社のアスミック・エースに提案したんですよ。

徳力 アスミック・エースもよく受け入れましたね。どう提案されたんですか。

上田 この映画のためには、否定的な意見を見て見ぬ振りをするのではなく、どちらの声もあるという議論を楽しんでもらうことを提示するべきだ、と話しました。
 
映画『イソップの思うツボ』

徳力 上田監督がお話しされていることは個人的にはとても正しいと思うのですが、一般的な商業映画において批判的な声を受け入れることは、関係者の心情的にも簡単ではないとも思います。
徳力基彦氏
アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー/ブロガー
ピースオブケイク noteプロデューサー NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、  2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視する アプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社 長に就任し、2014年3月より現職。2019年6月末で取締役を退任、7月から現職。同月、ピースオブケイク noteプロデ ューサー/ブロガーにも就任。

上田 そうですね。『イソップの思うツボ』の場合は、少し特別かもしれません。前作の『カメ止め』を好きな人が多く観に来てくれたと思いますが、『カメ止め』と同じような映画を期待していた人の中にはハマらなかった人もいて、モゴモゴしながら感想をツイートしているなと感じたんです。

そのモゴモゴを放っておくと、その人の中に負の感情が溜まってしまいます。それをどうすれば、発散してあげられるかと考えたときに「#イソップ賛否の否」というハッシュタグを思い付いたんです。そうすれば、発信し辛い否定的な意見でも発信してもらえるんじゃないか、と。

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