塾長対談 #02

2人が優れたビジネスパーソンになれたのは、「冷めた子ども」だったから? 【足立光×伊東正明 対談】

二人の考え方が似ているのは、元P&Gだから?

――お話を伺っていると、お二人はとても考え方が似ていらっしゃいますよね。

足立 そうね。ちょっと気持ち悪い。でも、伊東さんと一致できて光栄です(笑)。

伊東 こちらこそ、大先輩のようになれて嬉しいです(笑)。

――最初の会社がP&Gで同じということもありますか。

伊東 それは違うと思う。

足立 そうね、P&Gで一緒にいた時期は、ほとんど重なっていないし。

伊東 P&Gで足立さんと話したのは、面接が最初だったと思う。僕が学生のときに足立さんに面接してもらったんですよ。

足立 
それも、たまたまだし。



――ただ、お二人ともこれだけご活躍されているので、その共通するところに優れたビジネスパーソンたる所以があるような気がします。

足立  それは以前、考えたことがあって、僕は昔から周囲にあまり同調しないんですよ。何も考えずに周りに合わせるのではなく、「それは本当だろうか」と常に疑ってみる冷めた子で・・・。他人と違う視点を持つことや、違う行動を取ることに違和感を持たなかったんですよね。

アイデアを出すには、違う視点から見たり、違う考え方をしたりする必要があります。だから、その際に「人と違うこと」を恐れないで、物事を一歩下がって見ることが大事になるんです。伊東さんも同じかも。



伊東 そうですね。僕の後輩に英語のディベートで全国優勝した人がいるのですが、彼にディベートの勝ち負けについて聞いたところ、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの話を例に説明してくれました。

彼いわく、人が心を動かすときは、その人の言っていることに価値があると思わせる「エトス(信頼)」、相手の感情に訴えて共感を得る「パトス(共感)」、論理的な説明で相手を納得させる「ロゴス(論理)」の3要素が必要だと言っているんです。

足立 それはマーケティングの基本ですね!

伊東 そうです。エトスを「WHO」、パトスを「HOW」、ロゴスを「WHAT」に置き換えられますよね。そういう意味では、僕も子どもの頃からエトスとパトスを完全に排除している子どもでした。足立さんと同じように、冷めた子だったのかな(笑)。

これまでのキャリアでも、他部門から悪意がなくても色々なことを言われてきました。でも、僕はカチンとくる言葉はノイズだと考えているので、それをかき分けながら、この人が本当に言いたいことは何かを見極めるようにしています。攻撃的な言葉をそのまま受け止めると、ろくなことがないんですよね。



足立 
分かります。僕も話を聞くとき、完全に自分の感情を排除して、その中身だけを聞くように意識してきました。「WHO」や「HOW」がごそっと抜けた考え方ですが、それがすごく大事かもしれません。

伊東 反対に人に話をするときは、この人にとって自分はどんな「WHO」なのかを考えてから話すようにしています。ネガティブな言葉を発すると、そこでコミュニケーションをシャットダウンされてしまうので「WHAT」が伝わらないんです。

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