ほろ酔いマーケティング談義 Tipsy Tips for Marketers #06

「CGM誕生と爆発的成長」 顧客と誠実な対話をする習慣が大事 平成のマーケティングトピック2

馬鹿にしない、ビビりすぎない、何より対話の習慣を持つ


 日本における過去に炎上したCGMキャンペーンの実例をあげて、そのキャンペーンに携わった関係者の傷口にあらためて塩を塗り込むことは本稿の目的ではないので、ここでは遠くアメリカで10年以上前に起きた事例を紹介することにします。

 時は2006年(平成18年)、米国のスーパーマーケットチェーンのウォルマートを舞台にしたCGMコンテンツが大炎上を起こしました。

 そのCGMコンテンツとは、アメリカ中西部に住むカップルがキャンピングカーでアメリカ大陸を横断旅行し、夜は町々のウォルマートの駐車場に車を停めて休息をとり、そこでの地元の人たちとの出会いや交流をブログに綴るという、「Walmarting Across America(ウォルマートしながらアメリカ横断)」というタイトルの旅行記ブログでした。

 しかし実はこの旅行記の書き手は中西部のごく普通のカップルではなく、PR会社エデルマンの雇ったプロのライターとカメラマンで、完全なやらせであることが明らかになり、エデルマン社の社長が全面謝罪するまでに追い込まれたのでした。

 この10年以上も前のアメリカでのCGMキャンペーンの失敗事例は、その後も日本においても多くの企業やブランドが繰り返して犯している悪手です。そこに通底しているのは「一般人をうまく利用してやろう」「素人など簡単にだませる」といった浅はかな計算と市井の人々を馬鹿にした態度です。

 マーケターに必要なのは、CGMを必要以上にビビるのではなく、同時に舐めるのでもなく、きちんとリスペクトを持って、誠実に向き合うことです。そうすれば、ごくまれに奇跡が起きるかもしれません。しかしCGMとの向き合いにおいて大切なことはそうした奇跡を望むのではなく、大切な自分の顧客との誠実な対話をする習慣を持つ、ということなのです。

 インターネットで情報発信する人々もまた、自分が関心を持つブランドとの誠実なインタラクションであれば、ごく普通に会話をしてくれます。その会話にこそ価値があるのです。

 今回は私が選ぶ平成のマーケティングトピックその2「オンラインCGMの誕生と爆発的成長」を紹介しました。次回は番外編の最終回、私が選ぶ平成のマーケティングトピックその3「それ、あなたの会社の本当の姿ですか?」を書きたいと思います。

最後に、今回私が紹介するカクテルは「ソルティドック」です。

参考:ソルティドック
 
■材料
ウォッカ 30ml
グレープフルーツ ジュース 90ml
作り方
スノースタイル(参考 )でグラスの縁に塩を付着させたグラスに氷を入れ、ウォッカを注ぐ。
グレープフルーツジュースでグラスを満たし、軽くステアして完成。



 オンラインCGMとの連携は、時に大きなBuzzを生み出し、企業やブランドのメッセージを遠くへ届けてくれる一方で時に予期せぬ論争を巻き起こし、手痛い打撃を与えることもあります。

 この、甘さと酸味のバランスのとれたカクテルを飲みながら、自分たちの企業活動、コミュニケーション活動がどのような感情を生活者に起こしうるのか、想像を巡らせてみてはいかがでしょうか。

Enjoy Cocktail!  Enjoy Life!!
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