ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #10

無作為に当てた広告で獲得した「いいね!」への違和感。大企業のSNS活用の課題と解決法

インフルエンサー活用の正しい考え方とは


徳力 今まで伺った話は、企業の担当者はSNSのそもそもの活用方法を理解していないケースが多いという内容が中心でした。一方で、最近のトレンドとしてはSNSやインフルエンサーを活用してマーケティングをしようという流れも起きている感じはありますよね。

飯髙 そうですね。ただ、多くの企業は、インフルエンサーの活用自体が目的になっていると感じています。でも本来は、企業にとって必要なインフルエンサーが誰なのかを定義するべきなんですよね。

また、インフルエンサーを起用することは否定しませんが、それだけでは、波をつくっては落ち着くということの繰り返しになってしまいます。普段から口コミが起きているのであれば、それをきちんと積層させて、インフルエンサーを起用して勢いづけると考えれば、いいのではないでしょうか。



徳力 やはり短期的な売上や配架、広告的なキャンペーンの指標で動いていているケースが多いからでしょうか。

飯髙 
そうですね。企業は3カ年計画を立てても、どうしても直近1年や四半期ごとの数値ばかり見がちです。SNSはすぐに貢献する確率が低いんです。ただ、純粋な口コミが出てくれば、先ほどお伝えしたように、その山は基本的に下がりません。しっかり未来を見据えて投資をして、次のリターンを創造できるかという発想が大事なんです。

徳力 もともとマス広告で伸びてきた大企業の担当者が、その純粋な口コミを重要視する考えを社内に浸透させるとしたら、飯高さんであれば、どうしますか。

飯髙 大企業は、実績を重視すると思います。例えば、それがECサイトであれば、自分で簡単にアフィリエイトサイトをつくって、そのSNSアカウントを運営して結果を出して、できることを証明しますね。

徳力 たしかに、実際に売れていることを経験していない担当者が多そうです。

飯髙 
はい。だから、こういう経験を積み重ねていくことが重要だと思います。自分の目で、SNSで物が売れることを見られたら、投資しない理由がないんですよ。

徳力 確かに、露出数だけ見てしまっている大企業の担当者は多いかもしれませんね。参考になる話をたくさんもらいました。ありがとうございました。
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