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ニュースをマーケティング視点で徹底分析 #01

スキャンダルや炎上は、マーケティングとして成立するのか

 一度、スキャンダルがセンセーションになれば、連日報道されてしまうため、個人名やブランド名への高い接触頻度が実現されます。また、スキャンダルは、ソーシャルメディアや同僚、家族との実際のコミュニケーションのネタにもなります。

 「そんなこと報道している暇があったら、メディアにはもっとシリアの内戦を取材してほしいよ」などとボヤくときでさえ、人はそのスキャンダルを話題にし「体験」しています。過去に起こったことは「ニュース」として成立しづらいため、メディアはそのスキャンダルの「独自性」を強調して報道します。「今回のこの事件は、かくかくしかじかで前代未聞だ!」ということになります。
 
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 「有名な〇〇と言えば、誰?」と道行く人に聞いて頭に浮かんでくるのは、残念ながらその職業やくくりでスキャンダルの憂き目にあってしまった方々ではないでしょうか。

 「炎上マーケティング」を、企業として仕掛けるのは現実的ではないですが、個人としてはもしかしたら有効な戦略たり得るのは、以下のケースの組み合わせゆえなのかもしれません。
 
  1. 非助成想起獲得の重要性が過去になく高まっている
  2. しかし、それは同様に過去になく困難なことにもなっている
  3. スキャンダルは上記を達成する完璧な手段である

 世界で一番有名な地球人は、おそらくアメリカのトランプ大統領でしょう。共和党の指名獲得でも大統領選挙でも、上記の非助成想起は鍵であったはずなので、彼の勝因は「炎上マーケティング」だったと言うこともできるかもしれません。

 政治におけるプロパガンダは、あらゆる広告宣伝の元祖です。その意味では今後、スキャンダルや炎上が、企業のマーケティング戦略として一考される日が来るかもしれません。
 
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