デジタル時代のブランドコミュニケーション研究会 #04Sponsored
資生堂、ライオン 統合マーケティング実現に向けた組織構築【研究会レポート】
日本の企業は、突き詰めて考えて発注する文化が希薄
講演後のディスカッションでは多くの質問や議論が繰り広げられ、話は外資系との違いにも及んだ。
日系と外資系の両方を経験した参加者からは、「日本企業は広告会社に『いい感じでやっておいてください』とお任せする傾向が強く、自分たちで突き詰めて考えた上で発注するという文化が薄い。広告会社の言いなりになっては、IMCに対する知見が社内に貯まらない」という課題が指摘された。
これに対し、小出氏は「資生堂はクリエイティブ部門が内在していたので、30年前から自分たちで考える文化が強く、一般的な日系企業とは違うかもしれません」と言及。
一方で、ライオンの大村氏は「自部署も含めた関係部署にオリエンシートの見直しを推進しています。課題は何で、解決していきたいことの優先順位はどれで、それを何時までに達成するのか。曖昧なまま発注するとアウトプットがぶれてしまい、それが最終的には費用に跳ね返ってきてしまうと厳しく話すなど、少しずつ意識改革をしています」と話した。
また、専門性のある人材育成にも話が及んだ。
資生堂の小出氏からは「マーケティング部門に直接配属されるようになり、新入社員が、店頭のイメージがないうちに制作物に関わるという状況も出てきました。そのためライオンさんと同様に、当社にもトレードマーケティング部門がありますが、そこから依頼が来ても内容を理解できないケースも残念ながらあります。入社直後の研修で1カ月くらい現場にいかせていますが、それだけでは足りず、本当は1年、2年経験した方がいいという考えも出ています」と話した。
大村氏も「ライオンは、マーケティング採用が始まったところ。そうした課題は、今後出てくるかもしれません」と話した。
そのほか、IMCを実行する上での横の部門間の連携、IMC担当者の教育についてなどに話が及び、研究会は盛況のうちに幕を閉じた。
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