デジタル時代のブランドコミュニケーション研究会 #05Sponsored
マスとデジタルを組み合わせた「統合型マーケティング」実現に向けた攻略法【研究会レポート】
「デジタル時代のブランドコミュニケーション」研究会の第4回目となるテーマは、「マス・デジタルの統合型マーケティングにおけるKPI設計・PDCA」。カンター・ジャパンの吉本潤一氏と、オプトの千島航太氏による講演が行われた。
キャンペーンの統合化で効果は最大60%UPに
メディアの断片化が進んでいる昨今、消費者が広告を目にする機会が増えている。広告主からすると様々なフォーマットで広告出稿が可能である一方、どのメディアを選ぶのか、ブランドの一貫性をどう維持するのかなど課題も顕在化してきた。
そうした背景を踏まえて、カンター・ジャパンの吉本氏は「効果を高めるためには、キャンペーンを統合する必要がある」と話す。その理由を説明するにあたって、多くのキャンペーンが次の3つに分類できることを紹介する。
- 各メディアでアイデア、クリエイティブなどがバラバラで統一感のないキャンペーンを実施している。
- ほとんどのメディアでキャンペーン・アイデアが一貫してはいるが、クリエイティブがカスタマイズされていない。例えば、テレビ広告をそのままオンラインに流すようなケース。
- ほとんどのメディアでキャンペーン・アイデアが一貫している上に、各チャネルに合わせたクリエイティブを展開している。
吉本氏は、これらを比較した結果、「購入意向、ブランドイメージなど様々な指標で②は①の約1.3倍、③は①の約1.6倍の効果を生み出すことが分かった」と力を込める。
では、キャンペーンを具体的にどのように統合してパフォーマンスを高めたら良いのだろうか。吉本氏は、「共通項となる要素・同一のキュー(合図)が7つ以上使われている必要があり、一番分かりやすい共通項はロゴやブランドメッセージ。これらに加えて、共通した人物を起用すると統合化しやすい。さらに、ナレーションやサウンドトラックなど音声も共通化すると統合の要素になる」と提言した。
共通項・アイデア・インサイト・クリエイティブの質が鍵
吉本氏は成功するキャンペーンの実現に向けて、P&Gのチーフブランドオフィサーの言葉「バリューチェーンで何が最も大切かを考えると、それはインサイト。素晴らしいクリエイティブのアイデアを生み出して売上を生む」を引用し、インサイトに根ざしたアイデアの重要性についても言及する。
さらに、統合型マーケティングという観点では、消費者インサイトだけではなく、メディアの編集者が紹介したいという企画や小売・流通関係者が棚を割きたいと感じる内容、有識者が賛同してくれるテーマといった複数のステークホルダーのインサイトを持つアイデアが重要であるとした。ただし、それらがブランドのアイデンティティと合致していることも重要だと指摘している。
加えて、「クリエイティブの質も求められている」と続ける。テレビや雑誌など複数のメディアで展開したキャンペーンの好感度は、それぞれのメディアで展開したクリエイティブの質と高い相関関係にあるというのだ。
「あるメディアに載せたクリエイティブの好感度が低かった場合、キャンペーン全体のパフォーマンスも下がってしまう。そのため、どのメディアでもクリエイティブの質を担保する必要がある。特に、質の悪い枠であれば少額でもリーチが出やすいオンラインメディアの場合、その質がキャンペーン全体に影響を与えやすい。少額の投資でもネガティブインパクトが大きいため注意が必要」と注意を促した。