デジタル時代のブランドコミュニケーション研究会 #05Sponsored

マスとデジタルを組み合わせた「統合型マーケティング」実現に向けた攻略法【研究会レポート】

メディアに合わせたカスタマイズが成功の鍵


 複数のメディアが相関し合う中、クリエイティブの質を高めるために気をつけるポイントも紹介する。

 「ブランド広告に求められることは3つ。1つ目は広告で注意を引くアテンション、2つ目がブランドを伝える力、3つ目はブランドからのメッセージを伝えること。この3つを実現しつつ、メディアに合わせてカスタマイズすることが重要になる。例えば、テレビCMは寛いだ環境で見ている人が多いため、広告を最後まで見てくれる可能性が比較的高いが、オンラインの動画広告では最後まで見てもらいにくいなど、メディアの視聴環境に合わせると効果が出やすい」

 続けて、具体的なカスタマイズの手法について話した。

 「消費者が広告を見続けられる平均時間はテレビでは15~30秒と長いが、ソーシャルメディアでは1~3秒と極端に短くなるなど、メディアによって異なる。その特性に留意して、テレビは引き込む力、YouTubeは早めのブランド露出や、スキップされないように序盤で楽しい気持ちにさせることなどが重要になる。また、ソーシャルメディアではスクロールしている中で瞬間的にどのブランドの広告なのかがわかるような強いブランドキューや、止まって見てもらうためのストップ&ルック(気づき、気になる演出など)の要素が重要。テレビの素材をそのままオンラインで流すことがあるが、カスタマイズした動画をつかった方の効果が高い。ある日本のブランドのキャンペーン事例では、当初はテレビCMと同じ素材をSNSで流していた。しかし、広告認知は上がるものの購入意向が上がらなかったため、その後からカスタマイズした動画を流したところ、成果が出た」

 最後に吉本氏は、統合型キャンペーンを成功に導くポイントを次の4点にまとめた。
 
■統合型キャンペーンを成功に導くポイント
 
  1. 同一のキュー(合図)を使う。また7つ以上のキューを使うことが重要。
  2. 長期的な一貫性があり、かつキャンペーンもブランドとしても一貫性が保てるアイデアであること。キャンペーンの統合では、アイデア自体がそのようなものであるか振り返ることが最初の一歩になる。
  3. どのメディアにおいてもクリエイティブの質を一定に保つことが重要。特に少ない予算でもリーチが取れるオンラインのようなメディアは、キャンペーン全体の足を引っ張る可能性があるため注意が必要。
  4. クリエイティブのカスタマイズの方法は、メッセージそのものをカスタマイズするのではなく、アイデアをより伝わりやすくするためにチャネルごとにカスタマイズする。メディアの特性やコンテクストを踏まえたクリエイティブの編集が重要。内容を大きく変える必要はなく、編集でカスタマイズすると効果が出やすい。

 吉本氏は、「統合キャンペーンを成功に導くには、アイデアによる統合とチャネルに合わせたカスタマイズが重要。また、ロアーファネルでは、重複接触する層を増やしてシナジー効果を高める必要もある。さらに、何のブランドかを伝えることがブランドキャンペーンでは重要。これらを踏まえてキャンペーンを実施することでシナジーが生まれ成功につながる」と話し、講演を締めた。
 

ミドルファネルの攻略の糸口は、スモールマスコミュニケーションにある


 続いて、オプトの千島氏による実際にキャンペーンを立案し実行していくうえで重要となってくる「ミドルファネルを起点としたIMCとPDCAについて」の講演が行われた。
 
オプト ブランドソリューション開発部 部長 千島航太氏

 まず、千島氏は「生活者の嗜好が多様化している現在、従来型のマスコミュニケーションによるアプローチは画一化されたメッセージになりやすい。そのため、多くの生活者から関係ないと評価されてしまい認知をされても興味は持たれないケースが増えている」と提起。

 「市場における興味関心層(ミドルファネル)にいかに自分ゴト化してもらうことができるかが鍵となってきており、近年提唱されているスモールマスのコミュニケーションは、多様化する生活者の嗜好性や価値観に合わせたメッセージを届けることができる」と話した。

 その上で、同社が考えるスモールマスのアプローチとして、生活者のインサイト解析ツール「Basis」を紹介。これは生活者の購買情報や意識・価値観、メディアの接触状況をシングルソースデータでプラットフォーム化したもの。数万人の生活者の全支出データと、その購買データの裏にある嗜好性や価値観を結びつけてユーザー像や生活実態を明らかにすることができる。「Basis」では、自社商品だけでなく競合商品の利用者も含めた分析ができ、市場ボリュームと競合優位性のあるターゲット選定ができるという。

 さらに、ユーザー心理に基づいて、特定ターゲットがより関心を惹き行動を促すメッセージは何か?という視点に立ったコミュニケーション設計が可能になる。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録