ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #13

衝撃的な上司との出会い、出張先での心停止。コーヒー豆のバイヤーがマーケターへ転身した理由

前回の記事:
デジタル時代に「新聞社」をどう残すか。ネットメディアから移籍記者 朽木誠一郎の考え
 ミレニアル世代を代表するビジネスパーソンにアジャイルメディアネットワークの徳力基彦氏がインタビューし、現代のマーケティング担当者が知っておくべき消費者行動やその捉え方を探ります。

 第7回は、ネスレ日本で媒体統轄室 マネージャーを務め、2020年1月からスイス本社に赴任している村岡慎太郎氏が登場。コーヒー豆の買い付け部門からマーケティング部門へ異動したという異色の経歴をたどりながら、マーケティングに求められる視点について話を聞きました。
 

コーヒー豆のバイヤーがデジタル担当へ転身


徳力 この連載のメインテーマは、「ミレニアル世代のビジネスパーソンは、それ以前の世代と比べると、インターネットに対する感覚が違っていて、それがビジネスにおける感覚にも影響を与えているのではないか」になります。今回は、村岡さんのチャレンジを伺いながら、その感覚を探っていきたいと思っています。村岡さんは1980年生まれですよね。インターネットに最初に触れたのは、いつ頃ですか。

村岡 
それは、忘れもしない1999年4月でしたね。大学に入学してすぐ、情報システムの試験で先生から「試験は単純です。自分のパソコンからYahoo!メールのアカウントをつくって、私宛てにメールを送りなさい」と言われたんです。当時はまだ、インターネットサービスにアクセスして、アカウントをつくること自体が新しい体験でした。

村岡 慎太郎
ネスレ日本 媒体統轄室 マネージャー
2003年ネスレ日本入社後、コーヒー豆の買い付けに従事。その後、資材・物品サービスのバイヤーを経て、デジタルの重要性を感じ、2012年よりデジタル開発ユニットにて、新規デジタルメディア開発に従事。2015年1月より媒体統轄室に異動。 ネスカフェ アンバサダー、キットカット、ネスレ通販などの“オンライン・オフライン”のメディアプランを担当。2020年1月スイス本社に赴任。

徳力 それまでインターネットに触れたことは、なかったんですか。

村岡 
あるとしたら、ケータイのメールくらいですかね。

徳力 
面白いですね。やはりこの世代の人たちは、ケータイをインターネットとは呼ばないんですよね(笑)。先日インタビューした、ホットリンクの飯高さんもそうでした。インターネットを本格的に使いだしたのは、会社に入ってからですか。
徳力基彦
アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー/ブロガー
ピースオブケイク noteプロデューサー
NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、 2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視する アプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より取締役。2019年6月末で退任、7月から現職。同月 ピースオブケイク noteプロデューサー/ブロガーにも就任。

村岡 
はい、2003年からです。コモディティ部という原料を扱う部署に配属されて、コーヒー豆の買い付けを担当したんです。先物相場なので、インターネットでチャートを見て購入のタイミングを探ったり、ニューヨークやロンドン、原産国とメールでやり取りする必要があったりして、ぐっと触れるようになりました。

徳力 
村岡さんがマーケティング担当になったのは、いつ頃ですか。

村岡 
本格的には、5年前の2015年1月ですね。最初は、デジタルマーケティング担当ではなく、広告担当でした。ただ、デジタル領域には、その前の2012年頃にデジタル開発室に配属されたときから触れていたんですよね。

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