マーケターが抱えるジレンマ #01
現代のマーケターが抱える「ジレンマの正体」
2020/03/09
マーケターの実態的な役割とは
本来、広義のマーケティングにおいては、4P(Product、Price、Place、Promotion)、すなわち製品・価格・チャネル・プロモーションの領域全般を指しますが、実態としては私を含む多くのマーケターは、その役割において「セールス&プロモーションの領域にしか携われていない」のではないでしょうか?
そしてプロモーションの役割とは、現実的には「製品やサービスの実態」や「付随機能」をできるだけ魅力的に(嘘にならないように)、適切なターゲットに効率よく伝達するというのが、活動の中心になっていると思います。
ただ最近は、デジタルマーケティングに長らく関わってきた実感として、その活動における限界を感じています。どんなに最先端の手法を取り入れ、PDCAを洗練させたとしても、やがてはその効果は収斂し、前年比120~130%といった成長が限界だと感じています。
プロジェクトベースで、デジタルマーケティングがまだ整っていない案件をグロースさせる場合は、前年比150%や200%といった成長も可能ではあるものの、その効果が逓減していった先には、同じような限界が待っています。
ディスラプション・サービスの台頭
そしてもう一点、限界を感じさせる事象が「デジタルディスラプション・サービス」の台頭です。
デジタルディスラプションとは、「デジタルソリューションにより、既存の製品やサービスが駆逐され、高性能、利便性のある新しい製品やサービスに代わること」です。まさに今、AmazonやUberといったサービスが登場し、今後アフターデジタルな時代に突入すれば、さらにこれらのサービスが次々と登場してくることが予想されます。
これらサービスの脅威の本質がどこにあるのかと言うと、製品の中核である「ジョブ」を解決する手段として、デジタルを利用し、これまでのゲームとは根本的に異なる製品の実体、すなわち「ジョブの解決手段」を提供している点にあります。
そして、それが「これまでの解決手段より明らかに顧客にとって価値が高い」という点です。すなわち、「本質的価値が相対的に優れている」ことに他なりません。
これらのサービスが自社の展開する領域、すなわち自社の製品やサービスが解決している「ジョブ」に対して登場した場合、もはや我われがどのようなプロモーション手段を講じたとしても、焼け石に水であり、全く歯が立たない。そう感じるのです。
ユーザーが求めているモノは、結局のところ「ジョブをよりうまく解決してくれる手段」に他ならないからです。