マーケターが抱えるジレンマ #01

現代のマーケターが抱える「ジレンマの正体」


マーケターの「ジレンマの正体」が見えてくる


 顧客が求めているのは「ドリル」ではなく、「板に穴を開ける」ためのソリューションです。
 
  • 車が欲しいのでは無い → 移動がしたいんだ
  • CDが欲しいのでは無い → 音楽が聞きたいんだ
  • 運動したいのでは無い → 痩せたいんだ
  • 服が欲しいのでは無い → 快適な状態でいたいんだ

 必死に素敵なコピーを考えて、ターゲティングを高度化し、高速PDCAを回したとしても、顧客が根本的に求めている「ジョブ」をよりうまく解決できる「ソリューション」を投入させること以上に、大きなインパクトを与える施策はありません。その効果は、それこそ前年比200%、300%を超えることでしょう。

 そして、5G・IOT・AIという「技術革新の“三種の神器”(と勝手に呼んでいます)」が浸透していくと、デジタルソリューションを利用した新たなディスラプション・サービスが加速的に登場してくるでしょう。



 そのような危機感をデジタルに日常的に触れ、顧客の最も近くにいる我われだからこそ、直感的に感じているのかもしれません。

 それが、冒頭に述べた、多くのマーケターが「潮目が変わった」と感じたことの要因ではないでしょうか。

 そのような体感を得ていながらも、実体としては4Pの中のプロモーションにしか関われていないことに、「マーケターとしてのジレンマ」を感じるのです。そしてこのジレンマは、ひょっとすると多くのマーケターが感じているのではないでしょうか。


本質的価値追求への挑戦


 製品やサービスの本質的価値を再構築することは、もちろん一筋縄ではいきません。再構築とは、すなわち「製品の実体」そのモノを再定義しなおし、マーケティグの4P自体を再構築することと同義だからです。

 これを実現するには、今の「製品実体」を構成する、バリューチェーン自体を見直す必要があり、組織そして「ビジネスモデル」自体も再構築する必要に迫られます。

 そしてデジタル化を前提に、これらを行うことが「デジタルトランスフォーメーション」に他なりません。ここに大きな壁があります。

 このプロセスを現実的に行えるのは、実質的には経営者。または、経営者から全権を委任されたDX推進責任者です。マーケターである我われが、その役割を担うことができれば良いのですが、現実的には厳しいかもしれません。

 ただ、悲観的になる必要は無いと考えています。既存のビジネスモデルを根底から変えるのは確かに難しいです。しかし、自分たちのできる範囲で「顧客のジョブ」をより上手く解決できる「ソリューション」をアプリやサービスといった形で、生み出すことができるのではないでしょうか。

 それは、新規サービスと言われる領域、もしくは新規事業と言われる領域になるのかもしれません。リテール事業であれば、新規コンセプト店舗なのかもしれません。

 これらの新規ソリューションを立ち上げることは、我われでも十分に可能なはずです。ただ、そのためにはマーケターとしてのアップデートが要求されます。それは「マーケターからビジネスプロデューサー」へのアップデートです。

 顧客のジョブに向き合い、それを解決する手段を製品実体として生み出し、ビジネスとして成立させる。言いかえれば、本質的価値追求への挑戦です。

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