ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #17
腕利きマーケター、ディノス・セシール 石川森生氏が語る「キャリアのターニングポイント」
2020/04/07
デジタル全盛期に、ディノス・セシールを選んだ理由
徳力 僕が石川さんのキャリアで一番おもしろいなと思ったのは、一度社長を経験された後に、再び大企業であるディノス・セシール に入社されていることです。
他のインターネットの起業家を見ても、社長を経験した後にもう一度大企業に入ろうという人は少ないと思っています。
石川 いえ、私の場合はもとから「社長になりたい」という発想はなくて。TUKURUで社長になったのは、当時の株主から「やってくれ」という要請を受けていろいろと話した末に、たしかに私がやった方が合理的だと思ったからなんです。
だから、当時から社長を続けたいとは思っていなくて、もっとうまくやってくれる人が出た瞬間に代わりたいと思っていました。
徳力 自分の事業を始めて、それを大きくするということに興味があるわけではないんですかね。石川さんは、他の人と興味の位置がちょっと違う気がします。
石川 そうですね、仕事自体が目的にはならないですね。例えば、今だったら子どもとの時間をどう過ごすかが大事だったり。
「仕事について、どう思いますか」とよく聞かれますけど、仕事はご飯を食べることや寝ることとほぼ同じで、働かないと死ぬから働かざるを得ないという感覚です。
でも、せっかくご飯を食べるのなら、おいしいものを好きな人と食べたいし、どうせ寝るなら良い環境で寝たいですよね。それと一緒で、どうせ働くならおもしろいことや、誰かが喜ぶことをしたいと思っているんです。
徳力 それ、個人的にすごく重要だと思うんです。私たち“昭和世代”が今の発言だけを聞くと、古い言葉で言うと「5時まで男」に聞こえるんです。
石川 何ですか、それは。
徳力 就業時間の午後5時まで働いて、そのあと飲みに行くことを楽しみに生きている人のことを言うんです。そこにあるのは、仕事は苦痛を我慢する時間でしかないという考え方です。
でも、石川さんはそうではなく、仕事も楽しむ要素のひとつとして捉えているんですよね。その結果として、現在のディノス・セシールを選んだわけですよね。
石川 そうですね。ここでしかできないことができると思いました。
※ 第二回 「ECの専門家」という肩書を、なぜ手放したのか。に続く
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