ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #18

「ECの専門家」という肩書を、なぜ手放したのか。ディノス・セシール CECO 石川森生氏

 

自分なりの場所を探した結果、ディノス・セシールへ


徳力 
そこで言う「ECの専門家」という存在は、すでにニーズが顕在化している状態のものを、いかにコンバージョンまで連れていけるかという設計する人ということですよね。

石川 
そうですね。いくらコンバージョンの直前にあるKPIを磨けても、別のところに流れている大きな波は見えていない、という話をずっとしていましたね。

徳力 
それを確認するために、ディノス・セシールが一番魅力的な場所だったということですか。

石川 
ディノス・セシールはECがリーチできていなかった、上流を押さえるカタログやテレビというチャネルを持っていたんです。

もちろん購買に一番インパクトがあるのは店舗ですが、すでに業界には髭をはやした「オムニチャネルマスターのおじさん」がたくさんいらっしゃいましたから(笑)。



徳力 
ECと従来のリアルとの組み合わせを考えたとき、自分のキャリアのポジションとして、確立できそうなところを選択したわけですね。

石川 
じゃないと、楽できないじゃないですか(笑)。私がどんなにオムニチャネルと叫んでも、5番手か10番手にしかなれないなら、そんなところに向かっても意味がないですよね。

徳力 
はたから見ると、あまのじゃくにしか見えないけれど(笑)。

でも実は、すごく論理的に考えた結果なんですね。紙側や通販側にいる人たちがデジタルに目覚めれば、その道を確立できそうな気もしますけど。



石川 
業界としての歴史が長いから難しいですね。私は大企業の「慣性の法則」と呼んでいるのですが、これまでの組織や仕組みの影響が強いので、従来の動きをどうしても続けてしまうんですよ。自社だけでなく、外部の大手企業も巻き込んだエコシステムが完成されているので、あれを変えるのは簡単ではない。

徳力 
でも、それを外部から人が入って変えるのも、めちゃくちゃ大変なことですよね。

石川 
はい、めちゃくちゃ大変です。私も今の社長がいなければ、ディノス・セシールには来なかったかもしれません。入社前に話をして、社長が社長でいる間はいろいろできるなと思ったんです。

徳力 
社長とは、どのようにお会いしたんですか。

石川 
いまも私の隣の席に座っていますが、WEBの部長からの紹介でした。TUKURU時代に私たちのビジネスに興味をもって会いにきてくれて、当時の従業員を含めて高く評価してくれて、メンバーごと誘ってもらいました。

※ 第3回「デジタルよりもはるかにレベルが高かった紙メディア。その融合は、どう進む?」に続く
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