ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #19

デジタルよりも、はるかにレベルが高かった紙メディア。その融合は、どう進む?

前回の記事:
「ECの専門家」という肩書を、なぜ手放したのか。ディノス・セシール CECO 石川森生氏
 デジタル領域を出自としながら、DMなどリアルな手法をデジタルと組み合わせることで成果を出し、昨年は全日本DM大賞のグランプリを受賞したディノス・セシール CECOを務める石川森生氏。第1回第2回に続き、第3回ではカタログを強みにする通販会社ディノス・セシールに飛び込んで考えたこと、現在の挑戦について迫りました。
 

想定よりも紙のビジネスのレベルが高かった


徳力 
(前回は、こちら)デジタルに価値を生み出すという目的で、ディノス・セシールに入社されたわけですが、実際に入ってみて、どうでしたか。

石川 
入社前は無駄なコストがたくさんあるはずだから、その無駄を削れば、新しい実験をするための予算が捻出できるだろうと思っていました。流通額が1100億円だったので、その1%を削れば10億円だなと。

でも、入社してすぐ、紙はコストがかかるため、セグメントをとにかく細かく切り分けて精度の高いターゲティングを行うなど、Webよりもずっとレベルが高いということに気づきました(笑)。  
   
石川 森生
ディノス・セシール CECO(Chief e-Commerce Officer)
新卒でSBIホールディングス入社。SBIナビ(現・ナビプラス)の立ち上げに参画、営業統括の責務を担う。その後、ファッション通販サイトのマガシークにてマーケティング部門の責任者、製菓製パン向けECサイトcottaを運営する株式会社TUKURU代表取締役社長を歴任。イントレプレナーとして常に企業の課題解決に従事。2016年2月、株式会社ディノス・セシールでCECO(Chief e-Commerce Officer)に就任。同年7月よりEC本部を組織。既存の枠組みを超える、サスティナブルなECビジネスを構築するというミッションを実践している。

徳力 
それで、どうされたんですか。

石川 
まずは新しいことをやる前に成果を出す必要が出てきたので、EC本部という組織を新設して部長職を兼務しました。もともとはファッション事業部、家具事業部などの各事業部にそれぞれWeb担当者が在籍していたのですが、その人たちを一カ所にまとめたんです。

そしてECサイトの運用方法を確立し、私が先ほどからあまり価値がないと言っているものを取り入れ始めるわけです。

徳力 
まずはECを基礎からやり直すと。

石川 
そうです。例えば、メルマガを各部署でバラバラに打っていたのをひとつに束ねました。社内からは、めちゃくちゃ反対されましたけどね。他にも、ドメインパワーを生かすためにSEO用のストックコンテンツを大量生成できるスキームを準備しました。

徳力 
でも、石川さんからすれば、成果は絶対に出るだろうと思っていた。  
   
徳力基彦
アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー・ブロガー /ピースオブケイク note
プロデューサー
NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、 2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視する アプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より取締役。2019年6月末で退任、7月から現職。同月 ピースオブケイク noteプロデューサー/ブロガーにも就任。

石川 
はい、実際に成果が出ましたね。当時のディノス・セシール は、紙の方法をそのままECサイトに持ってきていたので、たとえば100万通送れるメルマガを究極的には1000通にまで絞ってターゲティングして送っていました。それらをまとめて見直して、数字で検証していきました。SEOに関しても、毎日相当の自然検索トラフィックを稼いでくれるページができあがっています。

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