ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #19
デジタルよりも、はるかにレベルが高かった紙メディア。その融合は、どう進む?
2020/04/21
デジタルとの組み合わせでは、紙の相性がいい
徳力 おそらく通常のデジタル企業なら、そういう取り組みでは当然デジタルの「メールを送る」という発想になると思うのですが、ディノス・セシールはそこにアナログであるDMを組み合わせるんですね。
石川 そうですね。私にとっては、デジタルは大してパワーを持っていないということが前提になっていますから(笑)。
徳力 従来のデジタル企業がそれをできないのは、買った人に対して郵便を送ること自体がコストにしか見えないからですかね。
石川 そうだと思います。
徳力 話を聞いていておもしろいと思ったのは、デジタルとアナログの組み合わせというと、どうしても店舗や対面が真っ先に浮かんでしまうのですが、一番コストがかかるから意外にスケールしないんですよね。
一方でDMは、実はコストがデジタルに近く、1通の単価は高いけれどスケールさせやすい。だから、アナログとデジタルを組み合わせるのであれば、紙が最も相性がいいのかもしれませんね。
石川 はい、実際にいいんですよ。これは入社してから分かったことですが、店舗というメディアはプッシュには弱いんです。
徳力 なるほど、たしかにそうですよね。DMであれば、自宅などに直接アプローチできます。次に石川さんは、どんな検証をしたいと考えられているんですか。
石川 やはり、本丸であるカタログの検証に早く行きたいですね。今までの施策はすべてデジタル印刷で行なっていますが、このやり方が正解ではない気がしています。7~8割を従来通りのオフセット印刷にして、残りをデジタルでパーソナライズ化するのが正解なのではと考えています。
徳力 コストを鑑みながらどう実現していくかを描くのが、石川さんの腕の見せ所ですね。これからの挑戦を楽しみにしています。
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