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マーケティングは、街にどう貢献できるのか #02

民間と役所、個人、それぞれの「ちがい」を力に変えられるか【渋谷未来デザイン 長田新子】

レッドブルは多様な人材の集合体だった

 前回、街の主役は「人」であり、誰が何をするのかがとても大事だと伝えた。そして、ここには、その人がどれだけ情熱を持って動けるかが大事だと思っている。そうなると、情熱を持った人がつくるアイデアやプロジェクトを引っ張る組織も重要になる。

 私の前職であるレッドブルは、本当にタイプの違う人の集合体だった。入社当初は、DJという職種が組織図にあることに驚いた。元B-Boy、元レーサー、現役ロックミュージシャンに加えて、企業のブランド担当やエージェンシー出身者、新卒社員まで、多種多様であることで魅力的な組織をつくっていた。

 入社するメンバーに「趣味は何ですか?」と聞き、「DJです」と言われても「あ、その枠は、すでに埋まっているんだよね」と言ったり。プロを目指すまでのスキルがない自分としてはある意味羨ましく、そんなメンバーがマーケティングチームに入り、ビジネスやプロジェクトをドライブさせて、成長していく姿をとても誇りに思った。
 
河野マルオ(RedBull.com)
 人を採用するときにも、意識していたことがある。それは組織に対する「カルチャーフィット」だ。面接でも経験やスキルを確認しながら、カルチャーがフィットするか、そのポテンシャルがあるかは重要な判断基準になっていた。マーケティングチームは特に個性の強い集団だったので、カルチャーが合わないと、お互いが不幸な結果になってしまう。

 これはアスリートからサンプリングをしているスタッフ(Wings Team)や学生チームの採用にも同様の考え方を浸透させてきた。世界的に共通のテーマだが、カルチャーを重視してきたからこそ、いわゆる「レッドブルっぽいキャラクター」の集合体になったと思う。
 
小林邦寿(RedBull.com
 この考え方は実はプロジェクトやアイデアを選別する際にも有効で、アイデアの幅は自由だが、最後には「これはレッドブルらしいのか」といった判断基準となる。入社歴が浅いとこの判断は理解できないが、徐々にこの「ブランドらしさ」の価値観を実践で訓練し、体感することで、常にこだわりや理由を持ってプロジェクトを進めることができるようになる。

 そのようなことを続けていると、外部からも人、活動、考え方が「レッドブルっぽい(ブルっぽい)」と、表現されることが多くなる。これが時間をかけて、つくり上げてきたブランドの世界観だと思っている。この記事を読んでいる人も、多少なりともブランドの「らしさ」「価値観」が伝わっていたら嬉しい。最近思うのだが、他社事例で「レッドブルっぽい」と言われることは最大の褒め言葉だと思っている。

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