音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #13

上司の承認がもらえない!納得してもらうために必要なことは?【音部で「壁打ち」】

上司の目的が分からないときは?


 しかし、ときには上司の目的が分からないというケースもあるでしょう。

 その場合は、会社の理念やビジョン、パーパスといった公の大義を知っておくと役に立ちます。一般的には、上司の目的と会社の目的や理念は一貫しるはずです。こうした文章は、おそらく会社のホームページやイントラネットの冒頭に掲げられていると思われます。それを使いましょう。あるいは、もう少し手近な情報として、中期経営計画や年間計画で示されているゴールや目標なども使えそうです。これらを具現化するために、自分のプロジェクトや提案が貢献できる、という話であれば、上司はきっと興味を持って聞いてくれます。

 そうした情報もなかったり、あるいはちょっと古そうだということであれば、とても簡単な方法として上司に「猛然と探したのですが、私には見つけられませんでした。我われは、ここ数年で何が達成できたら成功と言えますか」と尋ねてみましょう。自分たちが目指すべきものを教えてくれるはずです。

 以上のように、上司から承認をもらう際には、自分の目的、そして上司の目的をきちんと理解することが大事です。もちろん、素敵なプランができていることは大前提です。

 私自身も、若いうちは承認してもらうのはあまり得意ではありませんでした。自分のプランと努力ばかり見て、上司の視点をあまり意識していなかったからかもしれません。経験を経て、提案を受ける立場になってから「彼が提案してくれたプロジェクトで、今期のこのブランドの目標達成は解決できそうだ」とか、「彼女のプランがあれば、来月の懸念はひとつ消えそうだ」といった具合に判断していることに気づきました。つまり、提案そのものを単独で判断するというよりも、部門やブランドが抱える、ほかの多くの問題と一緒に考えている、ということです。

 言い方を変えると、プロジェクト単独で判断するときは、基本的には却下するときです。単体でみて、すでにプランがどこかで破綻していたり、成立しにくいものであったりする可能性が高いでしょう。承認されるときの多くは、プランが単独で素晴らしいだけでなく、関連するビジネスの全体を見たうえで、成立しているということなのだろうと思います。

 
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