アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #01

新型コロナが、日本人の「対面最強」の呪いを解体する

 

アフターコロナとは何か


 世界がコロナ一色になってから2カ月あまり。あらゆる人の活動が劇的に変化している。今すぐ足元の急場を凌ぐための変化と、今後もう後戻りすることのないであろう大きなうねりのような変化。

 震災をきっかけに誕生したLINEによって、チャットによるコミュニケーションが消費者間、消費者と企業間、企業間へと広がったように、アフターコロナとは、元に戻ることのない不可逆な変化を受け入れた世界。

 本寄稿では、とりわけ注目を集めている「非対面でのサービス利用の広がり」を例に、今後のマーケティングに求められる視点を共有したい。
 

非対面でのサービス利用の広がりが意味すること


 休日、私は花粉症のオンライン診療を、公園で子どもを遊ばせながら済ませた。アプリを立ち上げ、1分ほど主治医とビデオ通話する。にこやかな主治医の顔を見て安心感を覚える。

 数日後、薬が自宅ポストに送られてくる。精算は登録済みのクレジットカードでいつの間にか済んでいる。これは日本がコロナ渦中に陥る前、2020年1月初めの話だ。



 私はこのオンライン診療という手段に出会うまでは、花粉症の薬(正確には舌下免疫療法の治療薬)をもらうためだけに、半年間、毎月病院へ足を運んでいた。待合室で時には1~2時間待ち続け、30秒ほど主治医と話した後、精算と薬の処方でそれぞれまた待つ。この一連の流れは、ある種の習慣として身に染み付いた行動となっており、そもそも疑うこと、抗うことを一切考えなかった。

 「対面じゃなくても全然いい。」

 仕事でリサーチしていた一環でオンライン診療を知り、身をもって体験してみた結果、もう後戻りはできなくなっていた。この感覚は、私自身さまざまなサービス利用を見直すことに繋がった。

 非対面でのサービス利用の広がりは、この未曾有の疫病との戦いをきっかけに加速する変化のひとつとして、すでに目に見えて象徴的なものとなっている。

 テレワーク、ウェビナー、オンライン飲み。

 強制的に「非対面」を経験することになった現在、これまで私たちを縛り付けていた固定観念や非合理的な手順などにも気がついた。いや、薄々知っていたが、行動を変えなくても大きな困りごとにはならなかったものが顕在化した。

 そして私の花粉症治療のように、非対面の手段で目的が達成するならば、そちらを選択する、という消費者が増えるのではないだろうか。私は、これを「目的消費のはじまり」と意味付けている。

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